離婚を考えた時

離婚を考えた時

離婚したいと思い立っても、将来への不安や子どもへの影響等について悩み、簡単に結論を出すことが難しいケースがほとんどでしょう。
それに加えて、離婚問題においては、親権や財産分与、面会交流、慰謝料・養育費といった複雑な問題を避けて通る訳にはいきません。

また、どんな手順で離婚に向けて準備を進めればよいか、別居の際の段取りも、初めての経験で不安を持つものです。

本当に離婚した方がよいか考える

「離婚したい」と思っている時には、「もう我慢できない」「解放されたい」」という思いが強くなり、離婚をすれば幸せになれると思ってしまいがちです。
けれども、子どもがいる場合には1人で子育てするのは大変なものです。また、両親の離婚によって子どもが大きなストレスを感じるものですから、そのケアも考えなければなりません。
また、離婚は職場の人間関係や近所づきあいなどに影響することもあります。これらの影響を考えずに離婚して、離婚後に大きなストレスを抱えるケースも少なくありません。
したがって、離婚を考えた時には、本当に離婚した方がよいのか、離婚することのデメリットは何かをしっかりと考え、現実をよく見て検討することが大切です。

離婚するためには理由が必要

夫婦ともに離婚したいと思っているなら、離婚する理由が何であっても問題はありません。しかし、一方が離婚をしたくない時には相手を納得させるための理由が必要です。精神的虐待や浪費、借金、暴力など、離婚するにはそれなりの理由が必要です。
さらに、離婚原因が浮気や暴力、虐待などの場合には、その原因をつくった側からの離婚請求は困難です(有責配偶者といいます)。
有責配偶者から離婚を切り出しても相手に拒否されれば離婚をするのは困難です。また、慰謝料を請求されれば支払う必要があります。

離婚後の戸籍や姓

「離婚をすると、旧姓に戻らなくてはいけないから、周りに知られてしまう」という点を気にする人もいますが、離婚したらかならず旧姓に戻らなければならないというものではありません。

離婚をすると一緒だった夫婦の戸籍が分かれますが、厳密には戸籍の筆頭者はそのまま変わらず、配偶者が籍を抜かれる(ほとんどのケースで妻)ことになります。
籍を抜かれた側は、離婚する際に戸籍と姓をどうするか決めますが、新たな戸籍をつくることもできますし、婚姻前の戸籍に戻ることもできます。姓も旧姓か婚姻時の姓を選ぶこともできます。
婚姻中の姓を、離婚後も名乗り続けたい場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出すればOKです。

離婚成立までにすること

離婚は、「離婚届」を提出した時に初めて成立します。
お互いに離婚の意思を確認し、離婚条件についての話が円満に進めば、事務的に処理され、離婚は成立(協議離婚)します。
ただし、話し合いがまとまらない場合には、離婚調停、離婚審判、離婚裁判といった方法を検討することになります。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦が話し合い、離婚条件などについて合意したうえで離婚する方法です。
どんな理由でも、双方が合意すれば離婚することができるので、もっとも簡単な離婚方法といえます。

調停離婚

夫婦の一方が申立人となって、家庭裁判所の調停によって離婚する方法です。
調停は強制ではないので、話し合いがまとまらなければ不調に終わり、かならず離婚が成立するものではありません。
▶ 離婚調停の申立て方法|申立法は?必要書類は?
▶ 離婚調停を有利に進めるポイント|服装は?有利になる書類は?

審判離婚

調停が不調で終わった場合でも、家庭裁判所が「離婚するのが望ましい」と判断する時に限り、職権で下す審判によって離婚するケースがあります。これが、審判離婚です。
ただし、審判は異議申立を行えば無効となるので、実際には非常にレアケースであるといえます。

裁判離婚

裁判離婚は、協議、調停、審判でも離婚が成立しなかった場合に、裁判で離婚する方法です。夫婦の一方が家庭裁判所に離婚訴訟を提起しますが、その場合には民法が定める離婚原因が必要です。

民法が定める5つの離婚理由
①配偶者に不貞行為があった時
②配偶者から悪意で遺棄された時
③配偶者の生死が3年以上不明な時
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない時
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある時

弁護士に依頼すべき時とは

離婚する時には、必ずしも弁護士が必要というわけではありません。
しかし、関係がこじれてしまっている相手と一対一で話をすることは精神的に多大なストレスがかかります。
また、離婚を急ぐあまり不利な条件で離婚をしてしまい、離婚後にトラブルになることがあります。

このような場合、弁護士が代理人として相手と交渉したり、あるいは相手との話し合いを陰からバックアップしたりすれば、有利に離婚を進めることができます。
とくに、相手が弁護士に依頼している場合には、早めに弁護士に依頼した方がよいでしょう。

依頼するタイミング

弁護士に依頼するタイミングは個々の事情によってさまざまですが、できれば調停前の双方での話し合いの段階から相談した方が、法的なアドバイスをもらうことができますし、調停や裁判となった場合にも十分な対策をしたうえで臨むことができます。
とくに調停や裁判になれば、法律知識がないと有利に戦うことができません。
依頼するか否かは別として、早めに相談して必要な対策などを質問しておくとよいでしょう。

弁護士費用はいくらかかる?

弁護士費用には、着手金、報酬金、手数料があります。この他、通信費や出張費などの実費もかかります。
着手金は10万円から20万円程度であるケースが多く、報酬金は財産の内容によって異なります。もし弁護士費用を捻出できない場合には、法テラスに相談するのもおすすめです。収入や資産などの条件がありますが、弁護士費用を立て替えてくれる民事法律補助制度を利用することができます。

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