不貞行為は、夫婦間の貞操義務違反であり婚姻義務違反に当たります。
民法では、不貞行為を法定離婚原因の1つとして規定しており、不貞行為は裁判となった時には離婚理由となりますし、慰謝料を請求することができます。
しかし、不貞行為の証拠もなく、相手が浮気をしたことを認めない場合には、不貞行為があったことを証明できず離婚することはできませんし、慰謝料を請求することもできません。
ここでは不貞行為を理由に離婚を請求したり慰謝料を請求するために必要な証拠についてご紹介します。
Contents
不倫を証明するための証拠の重要性
配偶者の不倫が原因で離婚することが夫婦間で決まっていても、慰謝料の額や条件について話し合いを進めていると、相手が急に不貞行為を否定してきたりすることは、珍しいことではありません。
なかには、悪びれず「遊びであって本気ではない」と言い訳したり、「浮気をしたのは、夫婦生活がすでに破綻していたからだ」と責任を押し付けてくることもあります。そして、このようなケースでは、後々離婚協議や離婚調停の際に、「不倫などしていない」と主張してきて、慰謝料を請求されるのを逃れようとすることがあります。
しかし、この場合に不貞行為を裏づける証拠があれば、離婚の話し合いの主導権を握り、有利に離婚話を進めることができます。
最も効果的なのは動画
不倫をしている(していた)ことがわかる(もしくは推測できる)証拠の例としては、以下のようなものがあります。なかでも、最も効果的なのは動画です。不貞行為をしている時の動画を相手に見せれば、言い逃れができなくなるものです。
・浮気現場の写真や映像(調停や裁判になった際に、最も有力な証拠となります) ・相手が浮気を認めた発言を録音・録画したもの ・性的関係があったことを認める手紙や日記 ・ホテルに入ったことがわかるGPSの記録 ・調査会社などの第三者の証言 ・浮気相手とのメール、LINE、通話履歴 ・SNS(Twitter、Facebook、ブログなど)の書き込み、閲覧履歴 ・交通機関ICカードの使用履歴 ・不貞していることがわかるスマホやパソコンに保存されている画像 ・車の中に落ちているアクセサリー ・クレジットカードの利用明細書や領収書 ・スマホの利用料金が増えたことを示す明細書 ・ガソリンスタンドの利用料金が増えたことを示す明細書 ・ラブホテルの割引チケット |
証拠の有無は慰謝料の額に影響する
慰謝料とは、離婚原因をつくった側が相手に「慰謝」として支払うものです。したがって、離婚原因をつくった側がどちらなのか、はっきりしないような場合には、慰謝料は生じません。
慰謝料の金額は、夫婦で話し合って決めることができます。夫婦で合意ができて、協議離婚をする場合には、話し合って取り決めた内容を公正証書にしておきましょう。
もし、話し合いで慰謝料の金額が決まらなかった場合には、離婚調停を申し立てて、調停のなかで慰謝料のことを話し合っていきます。
このように、協議や調停、その後の裁判で慰謝料を請求することになった時には、有力な証拠があるか否かが慰謝料の額に大きく影響します。また、離婚を成立させることができるかに関わってくることがあります。
不倫の証拠集めの方法
証拠を集める時には、細心の注意を払いチャンスを逃さないようにしましょう。
必要に応じて、探偵に依頼するのもおすすめです。
たとえば相手が不倫を認める発言をしても、油断は禁物です。後から「そんなことを言った覚えはない」と言われてしまうと、不倫があった事実を証明できず、慰謝料を請求することができなってしまうこともあるからです。
こうした事態を避けるためにも、証拠を集める時は冷静に準備をしましょう。
また、メールやLINEの文章は、見つけたらすぐ写真などを撮って保存します。「確かに見たのに消されてしまった」「確かにあったはずなのに紛失してしまった」…というようなことはよくありますので、チャンスを逃さず冷静に保存をしましょう。
相手に気づかれないようにする
言うまでもありませんが、証拠を集める時は相手にそのことを知られないようにしましょう。あなたが不貞行為を疑っていることを、相手に悟られないように普段通りの生活を送るようにしましょう。
あなたが不倫を疑い証拠を集めようとしていると分かれば、パートナーは警戒心を強めてしまうので、証拠を破棄してしまう可能性が高くなります。また、注意して行動するようになるので、証拠を集めることがむずかしくなってしまいます。
携帯や手紙、手帳を勝手に見るリスク
証拠を集めることに集中している時には、つい相手のスマホや手紙、手帳を見てしまいたくなるものです。
しかし、スマホや手紙、手帳を勝手に見ることは、プライバシーの侵害になり、民事上の責任を問われる可能性があります。また、手紙、手帳を勝手に開封することは刑事罰の対象になる可能性もあります。
とはいっても、スマホや手紙、手帳には多くの証拠が存在する可能性が高いものです。不倫相手とやり取りしたメールがあるかもしれませんし、クレジットカードの明細書からは、いつどこで食事をした、ホテルに行ったなどの情報が判明することもあります。
ですから、我慢できずに見てしまった場合には、その内容を写真に撮っておきましょう。
民事上の責任を問われる可能性はありますが、離婚調停や裁判では、証拠として扱うことができます。
なお、相手の同意なしにスマホに行動監視ツールをひそかにインストールして行動を把握する方法がありますが、この行為は特に違法性の強いものとして、刑事罰の対象になる可能性があります。また、スマホにセキュリティ・ロックがかかっている場合に、スマホを直接操作して解除するのではなく通信回線を介して解除した場合には、同じく刑事罰の対象となる可能性がありますので、避けた方が無難です。
ただし、そのようにして入手した証拠であっても、民事の裁判上では証拠として使うことはできます。
別居する時は証拠を持ち出すことを忘れない
相手の不倫を知ると、相手の姿を見るのはもちろん、同じ空気を吸うのも嫌という気持ちになり、感情的に家を出てしまうケースがありますが、別居する際には、集めた証拠を持ち出すのを忘れないでください。
別居した後は証拠を集めることも難しくなりますし、集めた証拠を取りに戻ることも難しくなります。また、相手に破棄されてしまうリスクもあります。
まとめ
以上、不倫を証明するための有効な証拠と証拠の収集方法について、ご紹介しました。なお、不倫したことがばれたと知ると、定期預金を勝手に解約したり共有財産を勝手に処分したりする人がいます。定期預金や婚姻期間中に購入した家屋は、たとえ相手の名義でも夫婦の共有財産です。
したがって、それを保全したい場合には、家庭裁判所に仮差押えや仮処分の申し立てをしておきましょう。
また、財産分与や慰謝料の請求を取り決めるまで離婚をしたくない場合には、相手が勝手に離婚届を提出することを阻止するために役所に離婚届不受理申出を提出しておきましょう。
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