離婚後にしなければならない届出・手続きまとめ

離婚後の手続き

離婚が成立したら離婚届を提出しますが、離婚届の提出以外にも、さまざまな手続きが必要となります。
住民票の世帯主を変更する必要がありますし、健康保険や年金の変更も必要です。

また、運転免許証や身分証明書はもちろん、銀行預金やクレジットカードについても変更手続きが必要となります。
どんな手続きが必要となるのか書き出して、どの順番で手続きをすればよいのか優先順位をつけておくと、手続きもれがないのでおすすめです。

なお、ひとり親家庭には各種の公的支援が用意されています。
離婚後には、これらの支援制度の中から、利用できるものがないかもあわせて確認しましょう。

離婚後の手続き

離婚というと、離婚届を提出するだけでなく、さまざまな手続きや届出が必要となります。必要な手続きは人それぞれ異なりますので、効率的に手続きを行うことができるよう、リストアップしておきましょう。

離婚届は、調停離婚・裁判離婚でも必要

まずは、離婚届の提出です。
調停離婚や裁判離婚でも、離婚届はかならず必要になります。

協議離婚では、離婚届を市区町村役所の戸籍係に提出し受理されれば離婚が成立します。協議離婚以外の場合(調停離婚、裁判離婚など)は、離婚が確定した時点で離婚は成立しますが、離婚が確定した日を含めて10日以内に離婚届の提出が必要です。

離婚届提出に必要な書類
離婚届を提出する際には、離婚した方法によって必要となる手続きが異なります。
以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
なお、協議離婚の場合には離婚届に証人2人の署名捺印が必要です。
離婚届の書き方については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

▶ 離婚届の書き方|証人は何人必要?書き方は?

離婚の種類別/必要書類
離婚の種類別/必要書類

——————–
・協議離婚
離婚届
届出人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

・調停離婚
離婚届
調停調書の謄本
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

・審判離婚
離婚届
審判書の謄本・確定証明書
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

・裁判離婚
離婚届
判決書の謄本・確定証明書
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

・和解離婚
離婚届
和解調書の謄本
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)

・認諾離婚
離婚届
認諾調書の謄本
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
——————–

印鑑登録の廃止・新規登録

現在の印鑑登録の破棄および新規登録を行います。
印鑑は、離婚後さまざまな手続きで必要となりますので、早めに行いましょう。
住所地の役所で手続きすることができますので、住民票の手続きと同時に行うのがおすすめです。

住民票の世帯主変更

住民票の移動と、世帯主の変更手続きを行います。
住居が変更になった時には、「住民票の移動手続き」を行います。
住所が変わらず世帯主が変更になった時には、「世帯主の変更手続き」を行います。

健康保険の変更・加入

離婚してそれまでの健康保険証が使えなくなった場合には、別の健康保険に加入しなければなりません。日本では、健康保険は強制加入ですし、健康保険証がないと高額な医療費を払わなければならなくなることもあるので、早めに手続きを行うようにしましょう。

・会社の健康保険に加入している場合
会社で申請をすれば、会社で手続きをしてくれます。

・夫の会社の健康保険に被扶養者として加入していた場合
新たな加入手続きのために、資格喪失証明書が必要です。国民健康保険に加入する場合には、住所地のある役所で行います。必要書類を提出すれば、その場で保険証が交付されます。国民健康保険に加入する場合には、扶養を外れたことを証明する書類と本人確認書類をもって、市区町村役場の年金課で手続きをします。

・これまでの国民健康保険を引き続き使用する場合
世帯主変更などの手続きが必要です。

・引っ越す場合
転居前の国民健康保険を脱退して、転居先の役所で改めて加入手続きをする必要があります。

・国民健康保険から会社の健康保険に変更する時
脱退手続きが必要です。この手続きを忘れると保険料が二重に徴収されてしまいますので、注意しましょう。

離婚後に必要な健康保険の手続きについては、以下の記事でまとめましたので、あわせてご覧ください。

後からリンク

年金の種別変更・加入

離婚する前に、配偶者の被扶養者になっていた人は、自分が社会保険の加入者となります。社会保険に加入していないと、児童扶養手当を受け取れないこともあるので、早めに手続きをするようにしましょう。
年金の手続きは、下記のとおり手続きが異なります。

・第1号被保険者だった人
第1号被保険者とは国民年金のみに加入している人で、自営業者、学生、無職の方などの場合です。
第1号被保険者は、そのまま国民健康保険に継続して加入しますが、氏名と住所が変わった場合には、市区町村で変更手続きをする必要があります。

・第2号被保険者だった人
第2号被保険者とは、国民年金と厚生年金に加入している人でサラリーマン・OL・公務員などの場合です。
勤務先に変更がない場合には、そのまま継続して加入しますが、勤務先で変更の手続きをする必要があります。年金手帳を会社に提出しましょう。

・第3号被保険者だった人
第3号被保険者とは、第2号被保険者の被扶養者で、サラリーマンや公務員の妻などの場合です。
専業主婦で配偶者の扶養から外れた人は、就職して厚生年金に切り替えるか、そうでない場合には国民年金の第1号になります。
手続きが遅れて年金未納の期間が生じてしまうと、年金受給の際にペナルティを課されることがあるので、注意してください。
手続きは、最寄りの年金事務所で確認することができます。手続きの際には、転勤手帳が必要です。

なお、財産分与として分割した年金の取り分は、自分で年金分割の手続きを行う必要があります。
年金分割の手続きについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

▶ 年金分割制度:対象となる年金の範囲と相場、請求方法

郵便物や免許、水道・ガスなどの手続き

日常生活に関する手続きも、さまざまあります。
とくに、運転免許証やパスポートの変更手続きは早めに行いましょう。
これらの書類は、本人確認が必要なときに使えるので、便利だからです。
運転免許証やパスポートの変更手続きが終わったら、携帯電話、自分名義の預貯金、クレジットカードの名義を変更して、公共サービスの氏名や住所変更と支払口座について修正をします。

・運転免許証
窓口:
現住所を管轄する警察署・運転面所センター

必要書類:
免許証
本籍の記載がある住民票

・パスポート
窓口:
都道府県の旅券課

必要書類:
今までのパスポート
一般旅券発給申請書
戸籍謄本か戸籍抄本
証明写真

・住基カード、マイナンバーカード
窓口:
市区町村住民課など

必要書類:
転出証明書
住基カード
マイナンバーカード
※離婚を証明する書類が必要になる場合もある。

その他の主な手続きについては、以下のリストを参考にして、効率よく手続きを行うようにしましょう。

・郵便物の移送依頼届
・水道、ガス、電気の名義、請求先変更
・運転免許(現住所を管轄する警察署・運転面所センター)
・パスポート
・クレジットカード、預貯金の氏名・住所変更
・生命保険の名義・住所変更
・借家の契約名義変更
・ネットプロバイダーの名義変更

子どもに関する手続き

子どもの戸籍は、親権者に関係なく一緒に暮らす親の戸籍に入っている方が便利です。
しかし、離婚した時には、結婚によって姓が変わったほうが籍を抜けることになりますが、離婚しても子どもの戸籍は変わりません。
親権者が子どもと同じ戸籍に入るためには、自分を筆頭者とする新しい戸籍をつくる必要があります。
子どもの戸籍を移すには、家庭裁判所の許可が必要で、子どもが15歳未満の場合には法定代理人である親権者が手続きを行う必要があります。
母親が親権者であれば、すぐに手続きをすることができますが、親権者が父親の場合には手続きを父親に依頼する必要があります。

子どもの戸籍を移すには、まず子か親権者(子が15歳未満の場合)が、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出します。申立書は家庭裁判所でもらえる他、以下でのダウンロードすることができます。

子が15歳以上の場合

子が15歳以上の「子の氏の変更許可申立書」

子が15歳未満の場合

子が15歳未満の「子の氏の変更許可申立書」

▶ 家庭裁判所「子の氏の変更許可の申立て」

家庭裁判所から許可審判所をもらったら、次に子どもの本籍地か住所地の役所で入籍手続きを行います。この時入籍届は子ども1人につき1枚必要で、用紙は役所でもらうことができます。神殿も本籍地でない場合には、子どもと親権者の戸籍謄本と親権者である届出人の印鑑が必要になります。

家、車などに関する手続き

家などの不動産や車を財産分与や慰謝料として取得した場合には、名義変更(所有権移転登記)を行います。名義が相手のままだと自分のものと主張することができないからです。
手続きに必要な書類は、所有権移転登記申請書、権利証、印鑑証明、譲渡される側の住民票などです。これらの書類は相手から離婚時にもらっておくのがベストですが、離婚時に受け取ることができなかった場合には早めに入手するようにしましょう。
知らないうちに売却されていた、というトラブルも多々あるからです。

所有権移転登記の手続きは、不動産の所在地にある法務局の登記所で行うことができますし、オンライン申請も受け付けています。
不明点や疑問点がある場合、法務局に行く時間がない場合には、司法書士に依頼すればすべて代行してもらうことができます。

さまざまな支援制度

子どもを引き取る場合には、離婚後は一人で子どもを育てていくことになります。
養育費をもらっても、仕事をしながら子育てをするのはなかなか大変なことです。
そこで、離婚後にはさまざまな支援制度を活用するようにしましょう。

児童扶養手当

児童扶養手当とは、ひとり親家庭の子どもの生活の安定、自立促進を目的とした給付金で、母子家庭だけでなく父子家庭も対象となっています。
受給できるのは、子どもが満18歳になる年度の3月31日までで、市区町村から認定をされる必要があります。
手当の支給額は所得に応じて月4万2,330円~9,990円の間で決定されます。
なお、同居する親族がいて、その親族にある程度の収入がある場合には受給資格がもらえない場合もあります。

なお、児童扶養手当のほかにも、東京都の「児童育成手当」、名古屋市の「ひとり親家庭手当」など、都道府県や市区町村などの自治体独自でさまざまな支援を実施している場合があります。
児童扶養手当と並行して受給できるものもありますので、役所に行って積極的に聞いてみましょう。

母子・父子・寡婦福祉資金

母子・父子・寡婦福祉資金とは、市区町村がひとり親に対して資金を貸し付ける制度です。
以前は保証人が必要でしたが、現在は保証人が必要ないため、さらに使いやすくなっているようです。子どもが進学するときの資金や、就学するときの資金など、12種類の資金を低利子で借りることができます。

医療費助成制度

ひとり親家庭の親と児童及び父母のない児童の、医療費の一部を助成してくれる制度です。親の医療費も助成してくれるので、大変メリットが大きい制度です。

ファミリーサポート・ホームヘルパー

残業で遅くなるときなどに登録されている一般家庭で子どもを預かってもらえる制度です。1時間800円程度の費用がかかります。別途食事代を支払えば、残業などで遅くなったときに食事までさせてくれる場合もあります。
また、事前に登録しておくと、1日200円で家事・育児を介助してもらうことができるホームヘルパーサービスを実施している自治体もあります。

ひとり親休養ホーム

自治体によっては、ひとり親休養ホームという制度があり、ひとり親家庭がリフレッシュするために、国民宿舎や遊園地を利用することができます。

生活保護

ひとりで子どもを育てるのは想像以上に大変です。
子どもが小さいうちは、とくに就職することすら難しくなることもあるでしょう。
ハローワークなどでさまざまな就業支援制度がありますが、どれもひとり親に優先して仕事を紹介してくれるような制度というわけではないので、楽観視はできません。

どうしても困ったら、最後の手段として「生活保護」を検討しましょう。
なお、生活保護を受けるためには下記の4つの要件が必要となります。

・生活費に回せる資金が残ってないこと
・働けないこと
・ほかの救済制度だけで生活できないこと
・親族などから援助を受けるあてがないこと

「何とか頑張らなければ」とバイトを掛け持ちする人もいますが、無理を続けて、精神力も体力を使い切ってはいけません。生活保護以外にも、自治体に相談すればさまざまな支援制度について、案内しています。自治体の支援制度をフル活用して、無理をしないようにして下さい。

まとめ

以上、離婚後に必要な手続きについてご紹介しました。
必要となる手続きは、個々によって異なりますし、さまざまな手続きを行わなければならないので、「離婚しても、こんなに大変なのか」と感じる方も多いかもしれません。けれども、このような状況が長く続くわけではありません。手続きが終わり環境が落ち着けば、離婚後の生活を楽しめる日がきっと来るはずです。