離婚届は、原則として夫婦の本籍地または住所地の市区町村役所の戸籍係に提出します。
協議離婚の場合には、夫婦それぞれの署名押印と証人2人の直筆の署名押印が必要となりますが、裁判離婚や調停離婚の場合には証人は不要です。
調停離婚や裁判離婚など、裁判所の手続きを利用した場合には、処分が確定したときに離婚が成立していますが、離婚届を提出しないと戸籍上の処理は済んでいませんので、必ず離婚届を提出するようにしましょう。
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離婚届の書き方
離婚届は市区町村役所の戸籍係に常備してあり、必要事項を記入して提出します。
離婚届の書面に不備があると、受理してもらうことができませんので、記入例を見ながら下記注意点をチェックしながら記載漏れがないようにしましょう。
離婚届の提出方法
離婚届の提出は、夫婦揃って行く必要はなく、夫婦どちらか一人で構いませんし、本人が持参するのではなく第三者による提出でもかまいません。
離婚届は24時間受け付けていることがほとんどですが、実際の受理手続きは業務時間内に行われるので、夜間や休日に提出したり郵送で提出する場合には、離婚が成立するのが受付日より遅くなることがあります。
離婚届を訂正したい時
記載する際は、消えないインクで書くようにします。
鉛筆や修正テープは使えません。修正したい時は修正したい個所を2本線で消して訂正印を押し、上の余白に正しい字を書きます。
印鑑は認印でも可能
署名・押印は、かならず本人が行います。
認印でも実印でも構いませんが、夫婦と証人は別々の印鑑を用意する必要があります。スタンプ印やゴム印は不可です。
親権者について
未成年の子どもがいる場合には、親権者が決まっていないと離婚届は受理されません。複数の子がいる場合は、ひとりずつ子の名前を記載します。
氏名・住所・本籍地の記載方法
離婚前の名前を、戸籍に記載されている通りに書きます。住所も「1-2-3」のように省略せずに住民票に記載されている通り「1丁目2番3号」と記載します。
生年月日の記載方法
元号(昭和や平成、令和など)で書くが一般的です。
続柄の記載方法
子どもとの続柄は、長男、長女、二男、二女と記載します。
次男、次女とは書かないので、注意してください。
離婚届を書く時の注意点
離婚届は、協議離婚、調停離婚など、離婚の方法によって手続きが異なります。また、必要書類も異なりますので、注意しましょう。
協議離婚の場合は証人が必要
協議離婚の際には、証人2名の署名押印が必要となります。
証人は満20歳以上であればよく、親、兄弟、親戚、弁護士など、誰でも構いません。証人になったからといって、責任や義務が必要となるわけではありません。
証人には、生年月日、住所、本籍の記入と署名・押印をしてもらいます。
離婚届の証人がいない場合のために、離婚届証人代行サービスを行っている会社もありますので、弁護士等に相談してみるのもおすすめです。
離婚届と別に必要な書類
離婚届は、原則として夫婦の本籍地または住所地の市区町村役場の戸籍係に提出しますが、本籍地以外に提出する場合には、戸籍謄本が必要となります。
訂正があった時のために、離婚届を提出する時には、届出人の印鑑を持参するとよいでしょう。
そのほか本人を確認するために運転免許証やパスポート、健康保険証などが必要になることもありますので、念の為持参するようにしましょう。
離婚届は、調停離婚や裁判離婚をした場合にも提出する必要がありますが、離婚した方法によって、下記のとおり必要な書類が違います。
国際結婚をしていて外国の法律で離婚した場合にも、日本で婚姻届を提出しているときは、離婚届を提出しないと戸籍の処理が行われません。
協議離婚
離婚届
届出人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
身分証、印鑑
姓に関する届出書(婚姻中の姓を使い続ける場合)
住民票(外国人と協議離婚する場合)
調停離婚
離婚届
調停調書の謄本
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
住民票(外国人と協議離婚する場合)
審判離婚
離婚届
審判書の謄本・確定証明書
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
住民票(外国人と協議離婚する場合)
裁判離婚
離婚届
判決書の謄本・確定証明書
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
住民票(外国人と協議離婚する場合)
和解離婚
離婚届
和解調書の謄本
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
住民票(外国人と協議離婚する場合)
認諾離婚
離婚届
認諾調書の謄本
申立人の戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
住民票(外国人と協議離婚する場合)
離婚確定後10日以内に手続きを
調停離婚、審判離婚、裁判離婚などいずれの場合も、処分が確定した時点で離婚は成立しますが、戸籍の処理をしてもらうためには、必ず離婚届を提出しなければなりません。
離婚届の提出は、離婚が確定した日を含めて10日以内に手続きする必要がありますので、注意しましょう。
なお離婚届の提出は、原則として申立人つまり調停や裁判を申立てた人が行います。
この場合、離婚届の署名押印は申立人だけで構いません。
離婚届提出後に気が変わったら
夫婦けんかがエスカレートしてしまい、勢いで離婚届を提出してしまったというような場合には、離婚届提出後に気が変わることもあるでしょう。
しかし、離婚届は受理された時点で戸籍には協議離婚と記載されてしまいます。
また、夫婦の一方が離婚届を偽装して提出した場合であっても、書面に不備がなければ同様に離婚届は受理され、戸籍上は離婚が成立してしまいます。
「勝手に離婚届を出されてしまった」「提出した離婚届を取り消したい」などの理由で、協議離婚と記載された戸籍を訂正したい場合には、家庭裁判所に「協議離婚無効確認」の調停もしくは訴訟を起こす必要があります。
協議離婚無効確認の調停の申立て方法
協議離婚無効確認の調停の申立ては、妻や夫その親族が行うことができます。
申立ての際に必要な書類は下記のとおりです。
相手の住所地の家庭裁判所または当事者同士が合意して決めた家庭裁判所に申立てます。
協議離婚無効確認の調停申立ての際の必要書類
申立書1通
申立書の写し
申立人と相手方の戸籍謄本
離婚届の記載事項証明書
手数料1200円
連絡用の郵便切手代
離婚届不受理申出書の提出方法
離婚話がまとまっていないのに、相手が勝手に離婚届を提出してしまう可能性がある場合には、「離婚届不受理申出書」を提出しておくと、離婚届が受理されません。
不受理申出に有効期限はなく、「不受理申出取下書」を提出するまで無期限で有効です。
なお、すでに勝手に離婚届を提出されてしまった場合には、「協議離婚無効確認調停」を申し立てる必要があります。離婚届の時に夫婦双方に離婚する意思があることが必要であり、双方に離婚する意思がないのに勝手に出された離婚は無効となるからです。