離婚した時の子どもの戸籍|必要な手続き

離婚すると、婚姻によって氏を変更した側は、原則として婚姻前の氏に戻り、婚姻中の戸籍から除かれます。離婚後も婚姻中の氏を名乗りたい場合は、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。

一方、父母が離婚しても、子どもの戸籍や氏は自動的には変わりません。2026年4月1日から離婚後の共同親権を選択できるようになりましたが、単独親権と共同親権のどちらを選んだ場合でも、子どもは離婚時に在籍していた戸籍に残ります。親権と戸籍は別の制度だからです。

離婚後、子どもと同居する親が子どもを自分の戸籍に移したい場合は、原則として、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を得た後、市区町村に入籍届を提出します。

離婚したときの子どもの戸籍と氏

離婚によって戸籍が変わるのは、原則として婚姻により氏を変更した側です。
たとえば、婚姻時に夫の氏を選択し、夫が戸籍の筆頭者になっている場合、離婚によって妻はその戸籍から除かれます。しかし、子どもは夫の戸籍に残ります。
妻が単独親権者となった場合だけでなく、父母を共同親権者とした場合でも、離婚届を提出しただけで子どもの戸籍が母親の戸籍へ移ることはありません。
なお、戸籍の筆頭者が必ず父親になるわけではありません。婚姻時に妻の氏を選択した場合などには、妻が戸籍の筆頭者となり、離婚後も子どもが妻の戸籍に残ることがあります。

離婚後も子どもの戸籍と氏はそのまま

離婚によって父母の婚姻関係が終了しても、子どもと父母との法律上の親子関係はなくなりません。
ただし、「親子関係があるため、子どもは自由に父母どちらの戸籍にも入れる」というわけではありません。子どもを別の親の戸籍に移すには、原則として、家庭裁判所の許可と市区町村への入籍届が必要です。
また、子どもと同居する親が単独親権者になったとしても、子どもの戸籍や氏が親権者に合わせて自動的に変わることはありません。

親と子どもの氏の表記が同じでも手続きが必要

離婚後、婚姻中の氏を引き続き名乗る場合には、子どもと親の氏の表記が同じになることがあります。
たとえば、婚姻中に「山田」だった母親が、離婚後も「山田」を名乗り、子どもも元配偶者の戸籍で「山田」を名乗っているケースです。
この場合、見た目は同じ「山田」ですが、戸籍上は別の氏として扱われます。そのため、子どもを母親の戸籍に移すには、原則として、家庭裁判所の子の氏の変更許可と入籍届が必要です。

離婚後の子どもの戸籍と氏をパターン別に解説

婚姻時に一方の親が戸籍の筆頭者となっていた場合、離婚後の子どもの戸籍と氏については、主に次のようなケースが考えられます。

(1)子どもの戸籍と氏をそのままにする場合

子どもが離婚前の戸籍に残り、現在の氏をそのまま使用する場合は、子どもの戸籍や氏について特別な手続きは必要ありません。
戸籍の筆頭者である親と子どもが同居する場合だけでなく、子どもが戸籍から抜けた親と同居する場合でも、戸籍と氏をそのままにしておくことは可能です。
親と子どもの戸籍や氏を必ず同じにしなければならないという決まりはありません。

(2)婚姻前の氏に戻った親の戸籍へ子どもを移す場合

婚姻により氏を変更した親は、離婚すると原則として婚姻前の氏に戻ります。
子どもを自分と同じ戸籍に入れる予定がある場合は、離婚届を提出する際、自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る方法を選ぶのが一般的です。

その後、次の手続きを行います。

  1. 家庭裁判所に子の氏の変更許可を申し立てる
  2. 許可後、市区町村へ入籍届を提出する

家庭裁判所の許可を得ただけでは、子どもの戸籍は変わりません。許可審判書の謄本を添えて入籍届を提出することで、子どもの戸籍と氏が変更されます。

(3)婚姻中の氏を名乗る親の戸籍へ子どもを移す場合

婚姻により氏を変更した親は、離婚の日から3か月以内であれば、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出することにより、婚姻中の氏を引き続き名乗ることができます。
この届出は、離婚届と同時に提出することも、離婚後3か月以内に提出することも可能です。届出をすると、婚姻中と同じ氏で、自分を筆頭者とする新しい戸籍が作られます。

ただし、親と子どもの氏が同じ表記になっても、子どもの戸籍は自動的には移りません。子どもを親の新戸籍に移すには、原則として、家庭裁判所の子の氏の変更許可を受けた後、入籍届を提出します。

(4)いったん婚姻前の氏に戻った後、婚姻中の氏へ変更する場合

離婚時にいったん婚姻前の氏に戻った場合でも、離婚の日から3か月以内であれば、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出し、婚姻中の氏へ変更できます。
一方、離婚から3か月を過ぎてから婚姻中の氏へ変更するには、家庭裁判所に「氏の変更許可」を申し立て、許可を得る必要があります。家庭裁判所の許可は必ず得られるものではなく、氏を変更しなければ社会生活上著しい支障が生じるなどの「やむを得ない事情」が必要とされます。
また、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出した後、婚姻前の氏に戻したくなった場合も、原則として家庭裁判所の許可が必要です。離婚後にどちらの氏を名乗るかは、将来の生活も考えたうえで決めることが大切です。

(5)子どもが成人後に以前の氏へ戻りたい場合

未成年の間に家庭裁判所の許可を受けて氏を変更した子どもは、18歳に達した時から1年以内であれば、市区町村へ届出をすることで、家庭裁判所の許可を受けずに従前の氏へ戻ることができます。
現在の成人年齢は18歳であるため、原則として、18歳になった時から19歳になるまでの1年間が届出期間となります。
この制度を利用できるのは、未成年の間に子の氏の変更手続などによって氏を変更した場合です。期間を過ぎた場合は、改めて家庭裁判所の許可が必要になることがあります。

成人した子どもが自分の戸籍を作る場合

18歳以上で、戸籍の筆頭者やその配偶者ではない人は、分籍届を提出して、自分を筆頭者とする新しい戸籍を作ることができます。
分籍をしても親子関係がなくなるわけではなく、相続や扶養などの法律上の親子関係にも影響しません。また、分籍届を提出しただけで氏が変更されることもありません。
ただし、一度分籍すると、分籍前の戸籍へ戻ることはできません。

子どもの氏と戸籍を変更する手続き

子どもを離婚後の父または母の戸籍に移す場合は、基本的に次の2段階の手続きが必要です。

  1. 家庭裁判所で子の氏の変更許可を得る
  2. 市区町村へ入籍届を提出する

子の氏の変更許可を申し立てる

子どもの氏が父または母の氏と異なる場合、家庭裁判所の許可を得ることで、父または母の氏へ変更できます。
申立先は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。複数の子どもについて同時に申し立てる場合は、そのうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てることができます。

子どもが15歳以上の場合

子どもが15歳以上の場合は、子ども本人が申立人となります。
申立書も、15歳未満の場合とは異なる書式を使用します。家庭裁判所が必要と判断した場合には、子ども本人や父母に対して、書面による照会や事情の確認が行われることがあります。

子の氏の変更許可の申立書(15歳以上)
掲載している旧書式は使用せず、裁判所が公開している最新の申立書と記載例へ差し替える必要があります。

子どもが15歳未満で単独親権の場合

子どもが15歳未満の場合は、法定代理人が子どもを代理して申し立てます。
離婚後の親権者が父母の一方だけである単独親権の場合は、原則として、その親権者が法定代理人として申し立てます。
子どもと同居している親であっても、その親が親権者ではない場合には、当然に法定代理人として申し立てられるわけではありません。

子どもが15歳未満で共同親権の場合

2026年4月1日以降、離婚後の親権者を父母双方とする共同親権を選択できるようになりました。
共同親権の子どもが15歳未満の場合、子の氏の変更許可は、原則として父母が共同で、連名により申し立てます。
子どもの氏の変更は、食事や日常的な学校への連絡などとは異なり、父母の一方だけで決められる日常的な行為ではありません。
父母の意見が一致しない場合は、家庭裁判所に親権行使者の指定を申し立て、子どもの氏の変更について判断する親を指定してもらう方法があります。裁判手続で親権行使者として指定された親は、単独で子の氏の変更許可を申し立てることができます。

子の氏の変更許可の申立書(15歳未満)
2026年4月以降は、次のケースごとに記載例が分かれています。

  • 法定代理人が単独親権者の場合
  • 法定代理人が親権行使者として指定されている場合
  • 共同親権者である父母が共同で申し立てる場合

参考:家庭裁判所「子の氏の変更許可」

子の氏の変更許可の申立てに必要な費用

申立てには、次の費用がかかります。必要な郵便切手の種類や金額は、家庭裁判所によって異なります。申立先の家庭裁判所で確認してください。

  • 子ども1人につき収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手

子の氏の変更許可の申立てに必要な書類

標準的な必要書類は、次のとおりです。
同じ戸籍謄本が重複する場合は1通で足ります。事件の内容によって、追加書類の提出や事情の説明を求められることもあります。

  • 子の氏の変更許可申立書
  • 申立人である子どもの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 離婚の場合は、離婚の記載がある戸籍謄本
  • 親権行使者が指定されている場合は、審判書謄本や調停調書謄本など、指定を証明する書類

家庭裁判所の許可後に入籍届を提出する

家庭裁判所から子の氏の変更を許可する審判書謄本が届いても、その時点では子どもの戸籍はまだ変わっていません。
市区町村に入籍届を提出することで、子どもが父または母の戸籍に移り、戸籍上の氏が変更されます。
入籍届に届出期限はありませんが、届出をした日から効力が生じます。学校や健康保険、マイナンバーカードなどの氏名変更が必要になることもあるため、許可後は早めに手続きを進めるとよいでしょう。

入籍届の届出人

入籍届の届出人は、次のとおりです。
届出人本人が窓口に行けない場合は、署名済みの入籍届などを別の人が使者として窓口へ持参できる場合があります。ただし、使者が届出人になるわけではありません。

  • 子どもが15歳以上の場合は子ども本人
  • 子どもが15歳未満の場合は法定代理人

入籍届に必要なもの

一般的には、次の書類を用意します。

  • 入籍届
  • 家庭裁判所の子の氏変更許可審判書謄本
  • 窓口へ行く人の本人確認書類

2024年3月1日から戸籍情報連携システムが運用され、戸籍届出時の戸籍謄本の添付は原則として不要になりました。ただし、コンピューター化されていない戸籍が関係する場合など、例外的に戸籍証明書の提出を求められることがあります。
また、戸籍届への押印義務は廃止されており、入籍届への押印も原則として任意です。従来の記事にある「届出人の印鑑が必ず必要」という説明は削除する必要があります。
必要書類や取扱いは個別の事情によって異なることがあるため、提出先の市区町村の戸籍窓口へ事前に確認してください。

入籍届の提出先

入籍届は、次のいずれかの市区町村へ提出できます。
子どもが複数いる場合は、原則として子どもごとに入籍届を作成します。

  • 届出人または入籍する子どもの本籍地
  • 届出人または入籍する子どもの住所地
  • 届出人または入籍する子どもの所在地

まとめ

離婚しても、子どもの戸籍や氏は自動的には変わりません。離婚後の親権を単独親権と共同親権のどちらにした場合でも、子どもは離婚時に在籍していた戸籍に残ります。
子どもを離婚後の父または母の戸籍に移すには、原則として、家庭裁判所に子の氏の変更許可を申し立て、許可後に市区町村へ入籍届を提出する必要があります。
子どもが15歳以上の場合は本人が申し立てます。15歳未満の場合は法定代理人が申し立てますが、共同親権の場合は、原則として父母が共同で手続きを行わなければなりません。

また、離婚後も婚姻中の氏を名乗る場合、親と子どもの氏の表記が同じであっても、子どもの戸籍が自動的に移るわけではありません。家庭裁判所の許可と入籍届が必要になる点に注意しましょう。
子どもの氏や戸籍の変更は、学校生活や公的手続、本人の気持ちにも関わる問題です。父母の都合だけで決めず、子どもの年齢や意向、生活上の影響を確認しながら手続きを進めることが大切です。