離婚協議書の書き方|テンプレート・サンプル付き・ダウンロード可

離婚協議書とは、協議離婚をする際に取り決めた内容を文書にしたものです。
夫婦双方が離婚に合意し役所に離婚届を提出して受理されれば協議離婚は成立しますが、その際にはぜひ離婚協議書を作成することをおすすめします。

「うちは、大した財産はないから」「文書を作成するなどの面倒なことはしないで、さっさと離婚したい」などの理由から離婚協議書を作成しない夫婦も多いのですが、慰謝料や養育費など、支払が発生する場合には、念書という形でもよいので、文書を取り交わしておくことを強くおすすめします。

離婚協議書とは

離婚協議書とは、離婚について夫婦で話し合って合意した内容を記載した合意書です。「念書」「合意書」「覚書」などと呼ばれることもあります。

離婚について話し合って決めた内容(財産分与や慰謝料の額、支払方法など)は口約束のままにしておくのではなく、離婚協議書を作成しておきましょう。

さらに、満20歳未満の子どもがいる場合には、親権者・監護者の氏名や養育費について協議し、離婚協議書に記載するようにしましょう。

離婚する時に「慰謝料は必ず払うから」「養育費は、月○万円支払うことを約束する」などと取り決めていても、いざ離婚が成立すると「そんなことを言った覚えはない」などと主張され、約束通りの支払いがされないことが多いからです。

(1)日付と署名があれば法的効力あり!

離婚協議書に決められた書式などがあるわけではありませんし、用紙のサイズが決まっているわけでもありません。ただし、必ず作成した日付は記載し、夫婦双方の署名捺印をしておくようにしましょう。
作成した日付と夫婦それぞれの自署による署名捺印があれば、後日トラブルになった時にも法的効力を持つからです。

(2)金銭的な内容は必ず公正証書にしておこう!

離婚協議書は、作成日付と夫婦それぞれの自署による署名捺印があれば法的効力を持ちますが、金銭的な内容については、公正証書にしておくとさらに安心できます。

公正証書とは、法律の専門家である公証人が、公証役場において作成する文書です。公証役場(公証人役場)で作成を依頼します。

離婚協議書を公正証書にしていないと、支払が滞った時に家庭裁判所に調停を申し立てたり裁判を起こしたりしなければなりません。しかし、離婚時に公正証書にして慰謝料や養育費、財産分与、年金分割などの金銭的な内容が確実に実行されるよう「強制執行認諾文言付公正証書」の文言を入れておけば、このような手続きをしないで強制執行をすることができるようになります。

「強制執行認諾文言付公正証書」とは、「約束が守られない場合は、強制執行をしても構わない」という内容の文言を入れた公正証書のことです。この文言を記載した公正証書は、裁判の確定判決と同じくらい強力です。
つまり、面倒な手続きをしないで強制執行できるという大きなメリットがあるのです。

たとえば養育費の支払いが滞った時には、相手名義の給料(養育費や婚姻費用に関しては、原則として2分の1まで)、預貯金、不動産などを差し押さえることができます。

(3)金銭関係以外も公正証書にしておくのがおすすめ

金銭的な取り決め以外について(面会交流など)については、公正証書にしても法的効力を持つわけではありませんが、後々証拠となりますので、あわせて記載しておくことをおすすめします。後々トラブルが発生した時でも、法的手続きをとれば簡単に主張が通るほど、公正証書の証明力は協力だからです。

離婚協議書を公正証書のする手順

離婚協議書を、後々強制執行可能な公正証書とするためには、公証役場に行って公証人に公正証書の作成を依頼する必要があります。

離婚協議書を公正証書にするための主な流れは、以下のとおりです。

離婚協議書を公正証書にするための主な流れ
(1)夫婦で取り決めた内容を書面にする
(2)公証役場で公正証書の作成を依頼
(3)公証人に原案を作成してもらう
(4)公正証書を確認して交付してもらう

(1)夫婦で取り決めた内容を書面にする

公正証書は公証人が作成しますが、取り決めた内容は依頼者が公証人に提示しなければなりません。口頭で伝えることもできますが伝え忘れてしまうこともあるので、避けた方がよいでしょう。
簡単なメモでもいいので、必ず書面にしておきましょう。

(2)公証役場で公正証書の作成を依頼

作成を依頼する場合には、実印、印鑑証明書、運転免許証、パスポートなどの身分を証明するもののほか、協議で決まった内容を詳しく書いた書面、記載内容に関する書類を持参して、夫婦で公証役場に出向きます。その他、必財産を特定するための書類などが必要になりこともあります。個々の状況に応じて異なりますので事前に弁護士などの専門家に相談しておくとよいでしょう。

(3)公証人に原案を作成してもらう

公証人は、合意した離婚条件に法的な不備がないか、強制執行認諾文言を記載するかなどを確認します。そのうえで公証人が原案を作成して郵送、もしくはFAX等で送ってくれるので、内容に誤りがないか確認します。

内容に問題がなくなった段階で、公正証書の調印日を予約します。

(4)公正証書を確認して交付してもらう

内容を最終確認したら、夫婦2人(代理人でも可)で、公正証書に署名捺印します。

この時、実印と公正証書の作成費用の支払いが必要になります。
公正証書の作成費用は、法律で決められています。この金額は、どこの公証役場でも同じです。額は、慰謝料や財産分与の額によって決まります。

▶ 日本公証人連合会
電話:03-3502-8050

 
公正証書の謄本を確認して署名捺印後、2通交付されるのでお互いが1通ずつ保管します。この時交付される公正証書は正本と謄本です。正本がなければ強制執行をすることができないので、お金を受け取る側が正本を保管するようにしてください。

離婚協議書のサンプル

離婚協議書を作成するうえで、用紙のサイズや縦書き、横書きなどの書式ルールはありませんし、タイトルも「覚書」「合意書」「念書」などとする場合もあります。

以下に、離婚協議書のサンプルをご紹介します。
このサンプルを参考にして個々の事情に沿って離婚協議書を作成し、さらに強制執行認諾文言付公正証書を作成すれば、養育費や慰謝料などについて債務不履行があった場合に、調停や裁判を経ずに強制執行することができます。

 

 

①親権者について
親権、面会交流について公正証書にしておけば、将来約束が守られず調停や裁判になった時に証明力があり有利になります。

②振込口座
銀行口座に振り込みで支払いを受ける場合、銀行口座が決まっているなら口座名義と口座番号も記入しておきましょう。

③強制執行認諾文言
強制執行認諾文言を入れ、強制執行認諾文言付公正証書にしておけば、債務不履行の場合に調停や裁判を経ずに強制執行ができます。

④署名捺印
公正証書を作成するための下書きであれば署名捺印は必要ありませんが、この文書を離婚協議書として法的効力を持たせるためには署名捺印が必要です。

※離婚協議書は、夫婦の事情や離婚時の状況にによって記載すべき内容が大きく異なります。したがって、後日思いがけないトラブルを防ぐためにも、上記サンプルをそのまま利用するのではなく必ず弁護士などの専門家に内容を確認してもらってください。

※ こんな離婚協議書トラブルに注意!
ここで、公正証書にした離婚協議書が後日問題になる例をご紹介します。
夫Aさんの浮気で離婚する夫婦の例です。
夫は自分浮気をして非があるために、妻が望む離婚条件を全て受け入れて公正証書を作成してしまいました。妻と早く離婚をして、愛人と再婚したかったという事情もあります。
しかし後日、公正証書に記載した離婚条件どおりの高額な慰謝料、財産分与、養育費の支払いが困難になり、支払が滞ってしまいました。結果的にAさんは、妻から強制執行され愛人とも別れることになってしまいました。

(1)離婚協議書テンプレートのダウンロード

離婚協議書テンプレートは、以下からダウンロードすることができます。
個々に変更すべき点は赤文字にしていますので、特に注意してください。
※テンプレートは、あくまでもサンプルです。弁護士等に確認して、独自の離婚協議書を作成してください。
 
※クリックすると、ワード文書がダウンロードされます。

まとめ

以上、離婚協議書の意味や注意点、離婚協議書のテンプレートや記載方法についてご紹介しました。
離婚協議書は公正証書にしておけば、勝手に改ざんすることもできませんし証明力も強いので、裁判になった際にもよほどのことがない限り、公正証書に記載された内容がそのまま認めらるほど強力な文書となります。

したがって、離婚協議書を公正証書にする場合不明点等は、弁護士に相談して質問し、離婚後のトラブルを防ぐようにしましょう。