離婚にかかる費用|離婚にかかるお金を方法別・ケース別に紹介

離婚にかかる費用は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚のどの方法を選ぶかによって大きく変わります。夫婦だけの話し合いで離婚が成立する場合、離婚届の提出自体に手数料はかかりません。一方、調停や裁判に進めば、家庭裁判所に納める収入印紙や郵便料、弁護士に依頼する場合の弁護士費用などが必要になります。
ただし、離婚で本当に大きな金額になりやすいのは、手続きそのものよりも、その後のお金です。財産分与、慰謝料、養育費、婚姻費用、年金分割、住宅ローンなどをどう整理するかによって、離婚後の家計は大きく変わります。
さらに2026年4月1日から、離婚後の親権、養育費、財産分与などに関する民法のルールが大きく変わりました。年金分割についても、同日以降の離婚では請求期限が原則5年に延長されています。
この記事では、離婚にかかるお金を、離婚の方法別・ケース別に分けて解説します。

離婚にかかるお金(方法別)

離婚について夫婦の話し合いで合意できれば、裁判所に支払う費用は基本的に発生しません。しかし、話し合いがまとまらなければ離婚調停、それでも解決できなければ離婚訴訟へ進むことがあります。
さらに、不貞行為やDV、財産隠しなどが争点になれば、証拠収集や弁護士への依頼などに別の費用がかかることもあります。

協議離婚(0円~)

協議離婚とは、夫婦が話し合って離婚に合意し、市区町村役場へ離婚届を提出する方法です。離婚届の提出自体に手数料はかかりません。協議離婚の場合は、成年の証人2名の署名が必要ですが、押印は任意です。
子どもがいる場合や、財産・住宅ローンなどがある場合は、離婚することだけでなく、養育費、財産分与、親子交流、住宅の処理なども決めておく必要があります。
口頭だけでも合意自体はできますが、後から「そんな約束はしていない」という争いを避けるため、重要な条件は書面に残しておく方がよいでしょう。

養育費、慰謝料、財産分与などの支払いを公正証書にする方法もあります。強制執行認諾文言を入れた公正証書で金銭の支払いを定めておけば、不払いになった場合、改めて判決を取らずに給与や預貯金などへの強制執行を申し立てられる場合があります。

公証人手数料は、財産分与、慰謝料、養育費などの金額によって変わります。養育費については、手数料計算上、原則として5年分までの支払総額を基準にします。
なお、2026年4月1日からは、養育費について一定の要件を満たす父母間の合意書があれば、公正証書がなくても先取特権に基づく差押えを利用できる制度が始まっています。そのため、「養育費を回収するには必ず公正証書が必要」というわけではありません。
ただし、先取特権には後述する金額の上限があります。養育費の合意額全体について強制執行できる状態にしておきたい場合や、慰謝料・財産分与なども含めて支払いを確保したい場合は、現在も公正証書を作る意味があります。

調停離婚(1,200円+郵便料など)

夫婦だけでは離婚や条件について話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に夫婦関係調整調停、いわゆる離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停の申立手数料は、収入印紙1,200円です。このほか、連絡用の郵便切手などが必要になります。必要な郵便料は家庭裁判所ごとに異なるため、実際に申し立てる裁判所で確認します。

裁判所へ支払う費用自体はそれほど高額ではありません。むしろ費用が大きくなるのは、弁護士に依頼した場合です。
調停では、離婚するかどうかだけでなく、親権、子育ての分担、養育費、親子交流、財産分与、慰謝料、年金分割などをまとめて話し合うことがあります。争点が多いほど、財産資料や収入資料、証拠などの準備も増えます。
本人だけで調停を進めることもできますが、財産額が大きい場合や、DV、不貞、親権などをめぐって対立が激しい場合は、申立て前に弁護士へ相談する方法もあります。

裁判離婚(1万円台~+郵便料・弁護士費用)

離婚調停をしても解決できない場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することがあります。日本では原則として、離婚訴訟の前に家庭裁判所の調停を経る必要があります。
離婚だけを請求する訴訟では、訴え提起の手数料として収入印紙が必要です。離婚のみを求める場合は1万3,000円が一つの基準ですが、財産分与、養育費などの附帯処分や慰謝料請求を加えると必要な手数料が変わります。このほか、家庭裁判所ごとに定められた郵便料も必要です。

離婚訴訟では、訴状や準備書面の作成、証拠提出、相手方への反論、本人尋問・証人尋問などへの対応が必要になります。
本人訴訟もできますが、不貞行為、DV、親権、多額の財産分与、不動産、退職金、会社株式などが争点になる場合は、法的な評価と証拠の組み立てが結果に影響しますので、弁護士へ依頼するのがおすすめです。

離婚にかかるお金(ケース別)

離婚で問題になるお金は、裁判所へ支払う費用だけではありません。子どもの有無、預貯金や不動産の額、住宅ローン、夫婦の収入差、不貞やDVの有無などによって、整理するべき内容は変わります。
特に2026年4月1日からは、子どもがいる夫婦の離婚について親権や養育費の制度が大きく変わっています。財産分与についても請求期間が延長されているため、以前の記事をそのまま参考にすると制度を取り違える可能性があります。

子どもがいる場合

未成年の子どもがいる場合は、親権、子育ての分担、養育費、親子交流などについて決める必要があります。
2026年4月1日施行の改正民法により、離婚後は父母の一方だけを親権者とする単独親権だけでなく、父母双方を親権者とする共同親権も選べるようになりました。
ただし、共同親権と単独親権のどちらかが原則という制度ではありません。父母の協議で決められない場合には、家庭裁判所が子どもの利益を基準に判断します。

DVや児童虐待などによって共同で親権を行うことが子どもの利益を害する場合には、共同親権にはできません。
共同親権の場合でも、日常的な監護・教育に関する行為や、DVからの避難、緊急医療など「急迫の事情」がある場合には、一方の親だけで親権を行使できる場面があります。

養育費
養育費は、子どもの生活、教育、医療などに必要なお金です。離婚後に子どもと同居していない親であっても、子どもに対する扶養義務がなくなるわけではありません。
養育費の金額は、父母双方の収入、子どもの人数、年齢などを踏まえて決めます。家庭裁判所が公表している養育費算定表は、調停や審判でも広く参考にされています。
ただし、算定表の金額はすべての家庭に機械的に当てはめる金額ではありません。私立学校の学費、医療費、療育費など、個別の事情が問題になる場合もあります。

2026年4月1日からは、養育費について大きく2つの制度変更が行われました。
一つ目が「法定養育費」です。
2026年4月1日以降に離婚し、離婚時に養育費を取り決めていない場合、離婚時から引き続き子どもを主に監護している親は、他方の親に対し、子ども1人につき月額2万円の法定養育費を請求できます。
ただし、この2万円は「一般的な養育費の適正額」ではありません。父母の収入などを踏まえて本来の養育費が決まるまでの、暫定的・補充的な金額です。
そのため、本来月8万円程度が相当な家庭でも、「法定養育費が2万円だから養育費は2万円でよい」という意味にはなりません。できるだ早く父母の協議や家庭裁判所の調停・審判によって適正額を決めることが前提です。

また、支払う側が支払能力を欠いている、あるいは支払うことで生活が著しく困窮することを証明した場合には、法定養育費の全部または一部の支払いを拒める場合があります。

二つ目が、養育費等に認められた先取特権です。
2026年4月1日から、取り決められた養育費のうち、子ども1人につき月額8万円を上限として、他の一般債権者より優先して回収できる先取特権が認められています。
さらに大きな変更は、父母が作成した一定の合意文書でも、この先取特権に基づく差押えを申し立てられるようになった点です。
以前は「強制執行を考えるなら公正証書」という説明が中心でしたが、現在は制度が変わっています。

もっとも、公正証書が不要になったわけではありません。8万円を超える合意養育費を含めた全額について執行可能な状態にしたい場合など、公正証書を作る意味は残っています。
養育費については、金額だけでなく、支払日、振込先、支払終期、進学費用や高額医療費をどう負担するかなども具体的に決めておきましょう。

慰謝料
離婚慰謝料は、離婚すれば必ず発生するお金ではありません。

不貞行為やDVなど、婚姻関係を破綻させたことについて相手に法的責任が認められる場合に請求が問題となります。いわゆるモラハラについても、単に「性格が合わない」「言い方が気に入らない」という程度ではなく、不法行為として評価できる具体的な言動と証拠が重要になります。

慰謝料額について法律上の一律の料金表はありません。
インターネット上では「慰謝料は○万円~○万円が相場」といった記事も見られますが、実際には婚姻期間、行為の内容や期間、悪質性、夫婦関係への影響、証拠などによって結果は変わります。
なお、性格の不一致や価値観の違いだけで、当然に慰謝料を請求できるわけでもありません。

財産分与
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に清算する制度です。
預貯金、不動産、有価証券、自動車、保険の解約返戻金などが対象になることがあります。一定の場合には、退職金も考慮されます。

2026年4月1日以降に離婚した場合、家庭裁判所に財産分与を申し立てられる期間は、離婚後5年です。2026年3月31日以前に離婚した場合は、従来どおり2年なので注意してください。
改正民法では、財産分与を判断する際に考慮する事情も明文化されました。
婚姻中に取得・維持した財産額、財産形成への寄与、婚姻期間、婚姻中の生活水準、夫婦の協力・扶助の状況、双方の年齢、心身の状況、職業、収入などが考慮されます。
特に財産形成への寄与については、家事や育児も含まれ、寄与の程度が異なることが明らかでない限り、原則として夫婦対等、つまり2分の1ずつとされています。
さらに2026年の改正では、財産分与の家庭裁判所手続において、必要に応じて裁判所が当事者に財産情報の開示を命じる制度も整備されました。
「相手名義だから自分には関係ない」「財産を隠してしまえば分からない」という話ではありません。

子どもがいない場合

子どもがいない夫婦の場合、親権や養育費を決める必要はありません。そのため、主な争点は財産分与、慰謝料、年金分割、不動産、住宅ローン、別居中の婚姻費用などになります。

慰謝料
子どもがいない場合でも、不貞行為やDVなど、相手に法的責任が認められる事情があれば慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、慰謝料は離婚そのものに対する「解約金」ではありません。
相手の行為、精神的苦痛、婚姻関係の破綻との因果関係などが問題になります。すでに婚姻関係が破綻した後の行為など、事情によっては慰謝料が認められない場合もあります。
話し合いで合意する場合は、金額だけでなく、支払期限、一括・分割の別、遅れた場合の扱いなども決めておきましょう。

財産分与
子どもの有無に関係なく、婚姻中に夫婦の協力によって築いた財産は財産分与の対象になります。
夫だけの名義になっている預金や不動産でも、婚姻中の収入などから形成したものであれば、財産分与の対象になることがあります。
一方、婚姻前から持っていた財産、相続によって取得した財産、親などから個人的に贈与された財産は、原則として特有財産となります。
ただし、婚姻前の財産と婚姻後の財産が混ざっているケースなどでは、どこまでが特有財産なのかを立証することが問題になります。

慰謝料と財産分与は、本来は別の制度です。ただ、協議離婚や調停では、財産分与に慰謝料的な意味を含めて一括解決することもあります。
その場合は、「この金額に慰謝料を含むのか」「これ以外には請求しないのか」を合意書で明確にしておかないと、後から再び争いになる可能性があります。

熟年離婚の場合

熟年離婚では、預貯金だけでなく、退職金、生命保険、年金分割、自宅不動産などが大きな問題になります。
婚姻期間が長いほど財産形成の期間も長くなるため、離婚届そのものにかかる費用より、財産をどう分けるかによる金額の方がはるかに大きくなることがあります。

退職金
退職金は、一定の場合には財産分与の対象になります。
すでに退職金を受け取っており、その全部または一部が婚姻期間中の勤務に対応するものであれば、財産分与の対象として検討されます。
まだ退職していない場合でも、退職時期が近く、退職金を受け取れる可能性が高いケースでは、将来の退職金が考慮されることがあります。
一方、退職まで長期間あり、今後の勤務継続や会社の状況などが不確実であれば、将来の退職金をそのまま現在の財産として評価できるとは限りません。

生命保険
生命保険も、契約内容によっては財産分与の対象になります。
終身保険や養老保険など、離婚時点で解約返戻金がある保険について、婚姻中に支払った保険料によって形成された部分があれば、その価値が財産分与の対象になることがあります。
財産分与を考える場合は、実際に解約する必要があるとは限りません。離婚時点の解約返戻金相当額を確認し、他の財産と合わせて清算する方法もあります。
一方、解約返戻金がない掛け捨て型保険は、通常、分ける財産としての価値はありません。
離婚後も保険を継続する場合は、契約者、被保険者、保険金受取人が誰になっているかも確認しておきましょう。

年金分割
年金分割には「合意分割」と「3号分割」があります。
対象となるのは、婚姻期間中の厚生年金記録です。夫婦がそれぞれ受け取る国民年金の基礎年金部分を半分にする制度ではありません。
合意分割では、夫婦の合意または家庭裁判所の手続によって按分割合を決めます。分割割合の上限は2分の1です。
3号分割では、2008年4月1日以降の国民年金第3号被保険者期間について、相手の同意がなくても、対象となる厚生年金記録を原則2分の1ずつに分割できます。
2026年4月1日から、年金分割の請求期限も変更されています。
2026年4月1日以降に離婚した場合は、原則として離婚した日の翌日から5年以内です。2026年3月31日以前に離婚した場合は、従来どおり2年以内です。
なお、年金分割の割合を合意しただけでは手続きは完了しません。年金事務所などで実際の分割請求をする必要があります。

別居中の生活費

離婚前に別居している場合でも、婚姻関係が続いている以上、夫婦には互いの生活を支える義務があります。
この別居中の生活費を「婚姻費用」といいます。夫婦自身の生活費だけでなく、未成熟の子どもの生活費や教育費なども含まれます。
夫婦の収入に差がある場合は、収入が多い側から少ない側へ婚姻費用を支払うことになる場合があります。
金額について話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることができます。調停でもまとまらなければ、原則として審判に移行し、裁判所が金額を決めます。
家庭裁判所では、婚姻費用算定表が実務上の参考として使われています。

2026年4月1日以降は、婚姻費用のうち子どもの監護費用に当たる部分についても、一定額の範囲で先取特権による回収が可能になっています。
生活が差し迫っており、通常の調停・審判を待てない事情がある場合には、審判前の保全処分が問題になることもあります。ただし、申し立てれば必ず暫定金を受け取れる制度ではなく、必要性などの要件が判断されます。

離婚にかかるお金(弁護士の有無)

離婚では、弁護士に依頼するかどうかで支出が大きく変わります。
ただし、「協議離婚なら○万円、裁判なら○万円」という全国共通の料金表はありません。弁護士費用は、法律事務所ごとに設定されています。
確認したいのは、相談料と着手金だけではありません。報酬金、経済的利益に対する加算、調停や裁判へ移行した場合の追加着手金、期日日当、実費などまで確認しておきましょう。

協議離婚を弁護士に依頼する場合

協議離婚でも、弁護士に交渉を依頼できます。
相手と直接やり取りしたくない場合、DVやモラハラがある場合、財産分与の対象財産が多い場合、養育費や慰謝料について対立している場合などでは、裁判所へ進む前から弁護士が関与することがあります。
弁護士費用は事務所ごとに異なるため、一律の相場として断定することはできません。
参考までに、法テラスの民事法律扶助制度では、離婚の示談交渉について、着手金6万6,000円~11万円、実費2万円という目安が公表されています。ただし、これは一定の資力要件などを満たして法テラスの立替制度を利用する場合の基準であり、一般の法律事務所の料金相場ではありません。
弁護士に依頼する場合は、「離婚協議書のチェックだけ」「相手との交渉まで」「公正証書作成まで」など、依頼範囲によっても費用が変わります。

調停離婚を弁護士に依頼する場合

離婚調停は、弁護士を付けずに本人だけで申し立てることもできます。
一方、調停では、親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割など、離婚後の生活を左右する条件を同時に決めることがあります。
弁護士へ依頼すると、主張の整理、必要資料の選定、申立書や書面の作成、調停期日への同行などを任せることができます。
法テラスの民事法律扶助制度では、離婚調停について着手金8万8,000円~13万2,000円、実費2万円という目安が公表されています。
これも法テラス利用時の基準であって、一般の法律事務所の料金を示すものではありません。

裁判離婚を弁護士に依頼する場合

離婚訴訟は本人でも行えますが、調停より法的な主張と証拠の重要性が高くなります。

離婚原因が法律上認められるのか、証拠が何を証明しているのか、相手の主張にどう反論するかといった点を、裁判所に書面で示さなければなりません。
親権、不貞、DV、多額の財産分与、不動産、会社経営、退職金などが絡む場合には、訴訟代理人として弁護士へ依頼するケースも多くなります。
法テラスの民事法律扶助制度では、訴訟から離婚事件を依頼する場合、着手金23万1,000円、実費3万5,000円という目安が示されています。
実際の法律事務所では、調停から訴訟へ移行すると追加着手金がかかる場合や、得られた財産分与・慰謝料などの金額に応じて報酬金が加算される場合があります。依頼前に総額の計算方法を確認しておきましょう。

調査会社を利用する場合

不貞行為などについて相手が否定している場合、証拠を集めるために調査会社へ依頼するケースがあります。
調査費用は、調査員の人数、調査時間、日数、地域、車両の有無などによって大きく変わります。
ここで注意したいのは、「証拠は多ければ多いほどよい」とは限らないことです。
費用をかけて大量の資料を集めても、裁判で立証したい事実につながらなければ意味が薄くなります。高額な調査契約を結ぶ前に、可能であれば弁護士へ相談し、「何を証明する証拠が必要なのか」を整理しておく方が合理的です。
また、証拠収集だからといって違法な手段が許されるわけではありません。

経済的理由で弁護士費用が払えない場合

弁護士費用を用意するのが難しい場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。
法テラスでは、収入や資産が一定基準以下の人などを対象に、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えを行っています。
無料法律相談は、同一の問題について原則3回までで、1回30分です。
弁護士費用等の立替制度を利用するには、収入・資産が一定基準以下であることに加え、「勝訴の見込みがないとはいえないこと」「民事法律扶助の趣旨に適すること」などの条件があります。
立替えは原則として「無料になる制度」ではありません。法テラスがいったん弁護士費用などを支払い、利用者が原則として分割で返済していく仕組みです。

2026年施行の法改正で押さえておきたい費用面のポイント

2026年4月1日には、離婚後の子どもの養育を中心とした改正民法が施行されました。お金の面では、特に養育費と財産分与のルールが大きく変わっています。
年金分割についても別の法改正により、同じ2026年4月1日から請求期限が5年に延長されています。

共同親権と子育ての取り決め

2026年4月1日以降は、未成年の子どもがいる夫婦が離婚するとき、父母の一方だけを親権者とする単独親権だけでなく、父母双方を親権者とする共同親権も選択できます。
ただし、共同親権と単独親権のどちらかが原則という制度ではありません。

共同親権を選んだ場合、進学、転居、重大な医療など、子どもにとって重要な事項について父母が共同で判断する場面があります。一方、日常的な監護・教育や急迫の事情では、一方だけで決められる場合もあります。
親権だけ決めれば終わりではなく、子どもの主な生活場所、子育ての分担、養育費、親子交流、重要事項の決め方まで具体化しておくことが、離婚後の紛争を減らすうえで重要です。

法定養育費は子ども1人につき月2万円

2026年4月1日以降に離婚した夫婦については、養育費の取り決めがない場合でも、子どもを主に監護する親が、他方の親へ法定養育費を請求できます。
金額は子ども1人につき月額2万円です。
ただし、これは適正な養育費を決めるまでの暫定的・補充的な制度です。父母の収入などを考慮した通常の養育費算定とは別のものです。
「法律で養育費が月2万円になった」という理解は誤りです。

養育費の回収方法が強化された

2026年4月1日から、養育費など子どもの監護費用について先取特権が認められました。
養育費については、子ども1人につき月額8万円を上限として、一定の範囲で他の一般債権者より優先して回収できます。
さらに、一定の父母間の合意文書を使って、先取特権に基づく差押えを申し立てることも可能になっています。
この改正によって、公正証書を作っていないから養育費を一切差し押さえられない、という従来のイメージは変わりました。
一方、強制執行認諾文言付きの公正証書は、合意した養育費全体や慰謝料、財産分与などの支払いを確保する方法として、現在も重要です。

財産分与の請求期限は5年に

2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与を家庭裁判所に請求できる期間は、離婚後5年となりました。
2026年3月31日以前に離婚した場合は2年のままです。
財産分与で考慮する事情も法律上明確化され、財産形成への寄与は、異なることが明らかでない限り、原則として夫婦対等とされています。
また、家庭裁判所が当事者に財産情報の開示を命じられる仕組みも整備されました。

年金分割の請求期限も5年に

年金分割についても、2026年4月1日以降に離婚した場合は、原則として離婚した日の翌日から5年以内に請求できるようになりました。
2026年3月31日以前の離婚については、従来どおり原則2年以内です。
財産分与と年金分割は別の制度なので、財産分与の話し合いをしたからといって年金分割まで自動的に完了するわけではありません。
年金分割を行う場合は、年金事務所などで所定の請求手続きを行う必要があります。

まとめ

離婚にかかる費用は、離婚の方法と争点によって大きく変わります。
協議離婚であれば、離婚届の提出自体に手数料はかかりません。一方、離婚調停では収入印紙1,200円と郵便料、離婚訴訟では請求内容に応じた収入印紙と郵便料が必要です。弁護士へ依頼すれば、さらに着手金、報酬金、実費などが発生します。

しかし、離婚で金額が大きくなるのは、裁判所へ支払う数千円、数万円の費用よりも、養育費、財産分与、慰謝料、婚姻費用、年金分割、不動産などの問題です。
特に2026年4月1日からは、共同親権の選択、法定養育費、養育費の先取特権、財産分与の請求期間延長など、大きな制度変更が行われています。法定養育費は子ども1人につき月2万円ですが、これは通常の養育費の標準額ではなく、本来の金額を決めるまでの暫定制度です。
養育費の回収についても、現在は一定の私的な合意文書から先取特権に基づく差押えを利用できる場合があります。古い記事にある「養育費を差し押さえるには必ず公正証書が必要」という説明だけで判断しないようにしましょう。
財産分与は2026年4月1日以降の離婚なら原則5年、年金分割も同日以降の離婚なら原則5年が請求期限です。

離婚届を書く前に、「離婚するか」だけではなく、「離婚後に毎月いくら必要なのか」「受け取れる財産はいくらか」「住宅や保険、年金をどうするか」を数字にしてみることが重要です。
弁護士への相談料や依頼費用は事務所によって異なります。無料相談を設けている事務所もあり、収入・資産などの条件を満たせば法テラスの無料法律相談や費用立替制度を利用できる場合もあります。離婚後のお金に大きく影響する争点がある場合は、合意書へ署名する前に相談することも検討しましょう。