妻が浮気した!離婚したいと思った時の7つの注意点

最近は、妻が浮気をして離婚するケースが増えています。
浮気をした妻には慰謝料を請求することができますし、妻の浮気相手に対しても慰謝料請求することができる場合もあります。
この記事では、妻が浮気をして離婚を考えた時に最低限知っておきたい、7つのポイントをご紹介します。

「妻の浮気」による離婚が増えている

最近は、妻が浮気をする事例が増えています。家庭裁判所の「申立の動機別データ」でも、妻が浮気をしたことを理由に離婚調停が申し立てられるケースが増えています。

(1)妻の浮気はなぜ増えた?

以前は専業主婦が多かったものですが、最近は仕事を持つ妻が増えて夫以外の男性と接する機会が増えてきました。また、浮気をそれほど深刻に考えず悪いことだと思っていない人も増えています。
これらの背景が、妻の浮気が増えた原因とみられています。

(2)妻の浮気は離婚原因5位

令和5年 司法統計年報による調停を申立てた申立人の動機別データによれば、妻の浮気を理由とした離婚は、2番目に多いことが分かります。

申立ての動機 申立人
総数 15,192 41,652
性格が合わない 9,103 15,835
異性関係 1,817 5,362
暴力を振るう 1,320 7,711
酒を飲みすぎる 376 2,394
性的不調和 1,592 2,642
浪費する 1,748 3,550
病気 592 672
精神的に虐待する 3,252 10,881
家庭を捨てて省みない 720 2,537
家族親族と折り合いが悪い 1,668 2,332
同居に応じない 1,338 599
生活費を渡さない 738 12,040
その他 3,242 4,974
不詳 756 3,751

▶ 裁判所「令和5年 司法統計年報」

「妻の浮気」で離婚を考えた時の7つの注意点

夫婦は、配偶者以外と性的関係を持ってはいけないという義務があります。
したがって、妻の浮気は不貞行為にあたり、離婚事由となります。

妻が浮気をしたことで離婚をしたいと思った時には、その浮気の証拠が最も重要となります。また、妻の浮気を立証できる場合には、離婚することができるだけでなく、妻と相手の男性に慰謝料を請求することができます。
なお、浮気を立証できない場合でも、浮気を疑う十分な理由がある場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」」があると認められるケースがあります。

(1)浮気は証拠が大切

妻が浮気をしたことを理由として離婚を考えた時には、証拠が最も重要です。
したがって、「浮気をしているのではないか」と疑った時点で、責め立てるのではなく、まずは証拠を集めてください。
妻が浮気をしたことを否定している場合には、まず証拠を集めたうえで離婚請求した方が、離婚できる可能性が高まります。

また、証拠があれば、妻だけでなく相手の男性にも慰謝料を請求することができます。

また、後々、離婚の話し合いや慰謝料請求をする場合に話し合いがまとまらなければ、裁判をすることになります。裁判所が妻の浮気を認定する場合には、証拠の有無が大変重要となります。

しかし、浮気は、そもそも2人だけの密室で行われる性質のものですから、証拠を集めようと思っても難しいケースが多いでしょう。その場合には、調査会社に依頼するのも一つの手です。いきなりインターネットで探すのではなく、弁護士に相談して弁護士から紹介してもらった方が、良心的な料金の調査会社に依頼することができます。
なお、調査会社に依頼する場合には、それなりに調査費用がかかるので、漠然と依頼するのではなく、妻の行動パターンなどできるだけ具体的な情報を提示すると、費用を抑えることができます。

調査会社に依頼しない場合でも、妻の態度や行動に変化があれば気づくこともあるでしょう。そのうえで、妻の行動をよく観察して、以下のような証拠を入手するようにしてください。

①妻と相手の男性の動画、画像
②妻と相手の男性との間のメールやSNSでのやり取り
③妻と相手の男性が利用したと思われる、ホテルやレストラン、バーなどのレシート、クレジットカードの利用明細など
④妻と相手の男性が旅行した際の写真や航空券の予約表、利用明細書
⑤妻の日記や手帳の記載など

動画や画像など、決定的な証拠がない場合には、上記①から⑤は、1つだけの証拠では浮気が認められるのはなかなか難しいこともあるので、複数集めるようにしましょう。

(2)偶発的な浮気は否定される可能性あり

酔った勢いで、見知らぬ男性と一夜を過ごしたというケースもあるでしょう。もちろん、これも浮気ではあるのですが、これが偶発的に1回だけの行為で、妻が心から反省して離婚を望んでいない場合には、裁判となった場合でも離婚が認められない場合があります。

また、性的関係がなく「実は、結婚前に付き合っていた恋人を未だに想い続けている」「同僚で気になる男性と食事をしている」という程度では、不貞行為には該当しません。
その他、夫婦が別居していて夫婦関係がすでに破綻している時に妻が浮気しても、それは不貞行為には該当しないと解釈される可能性があります。

確かに、「一夜限りの関係」や「性的関係がなくても、妻が他の男性を思い続けている」などのケースが、法律的に不貞行為にならなくても、夫としては「絶対に許せない!」と思うのは当然です。
この場合には、仮に離婚裁判になった場合には、浮気を理由とするのではなく、「婚姻を継続し難い事由」を理由に離婚が認められる可能性は十分あります。

いずれにせよ、弁護士とよく話し合い、離婚協議や調停、裁判を有利に進められるよう準備をしておきましょう。

(3)証拠がなくても離婚が認められることも

証拠がなくても、浮気を疑われても仕方がないと思われる十分な理由がある場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められ、離婚が認められる場合もあります。

過去の判例では、夫と相手女性との肉体関係を認定する明確な証拠がない事例で、妻が夫の浮気に払拭し難い疑念を抱いていて、その疑念を持つのは自然であること、そして夫がその女性との交際を継続していることなどから、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、妻からの離婚請求を認めた事例があります(東京高判 昭和47年11月30日)。

(4)浮気相手にも慰謝料請求できる

妻が浮気した場合には、妻だけでなく浮気相手にも慰謝料を請求できる場合があります。ただし、それはその相手が既婚者であると知ったうえで性的関係を持った場合です。

たとえば、妻が「独身である」「夫とは、別居していて結婚生活は破綻している」などとうそをついていた場合には、浮気相手の男性に、慰謝料を請求することはできなくなります。

なお、妻の浮気が発覚しても離婚しなかった場合でも、相手に慰謝料を請求することはできます。その場合、時効は妻の浮気を知ってから3年となりますので、慰謝料を請求したい場合には早めに請求するようにしましょう。

(5)妻が浮気しても親権をとられることがある

妻が浮気をして離婚する場合でも、母親が親権者に指定されるケースがあります。
実際、子どもが幼い場合には、母親が親権者に指定されるケースが多いようです。なぜなら、一般的には幼い子どもは、父親以上に母親の愛情と監護が必要だろうと考えられるからです。

しかし、父親でも親権者になれる可能性は十分にあります。
母親が親権者になれるのは、あくまで母親が愛情を持ってしっかり子どもを育てていることが前提です。
ですから、母親としての役割を果たさず浮気をしていたというような事情があれば、母親ではなく父親が親権者になることができます。

子どもがいて、親権者となりたい場合には、以下の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

▶ 父親が親権を勝ち取るためにアピールしたい5つのこと

(6)親権がほしい時に知っておきたいこと

調停などになった場合には、裁判所では夫婦の感情より子どもの気持ちや環境を重視されます。たとえば、親の健康状態や生活態度、子どもに対する愛情や住環境・教育環境、子どもを養育する意欲です。

子どもとは離れない
子どもの養育環境は、なるべく現状のまま維持する方が望ましいとされています。なぜなら、養育環境を急に変化させてしまうと、子どもにストレスを与える恐れがあり、子どもの利益と福祉に反するからです。

そこで、親権が欲しい場合には、妻と別居する時でも子どもと離れないこと、そして普段から育児にしっかり関わっていることをアピールすることが大切です。親権について合意できず審判や裁判になった時に、断然有利になります。

離婚後に親権者の変更は簡単にはできない
浮気した妻とは一刻も早く別れたくて、とりあえず親権者を妻にしておいて、後から変更しようと思うこともあるでしょう。しかし、離婚後の親権者の変更は簡単にはできません。
これまでご紹介したように、親権者を決めるポイントは、子どもの環境を極力変化させないことが重視されるので、離婚後の親権者変更も、やはり子どもの環境が変わってしまうことから、簡単にできないことになっているからです。

離婚後に、親権者を変更する場合には、双方の話し合いでは認められず、家庭裁判所の許可が必要となります。

(7)妻を許す場合に知っておきたいこと

妻が浮気をしたとしても、妻に未練があったり、世間体や子どもの養育を考えて、離婚を躊躇することもあるでしょう。それは、当然の感情です。
しかし、浮気した妻と離婚をしない選択をした場合には、妻を責めることは控え気持ちを切り替えることが大切です。

過去の判例では、浮気した妻を責めたことから、妻が夫に離婚を請求した事例で、妻からの離婚請求が認められたケースもあります。

裁判所では、「妻が浮気した場合でも、夫がこれを許して離婚をしないという選択をしたのならば、それは妻の浮気を許したことになる。それなのに、それを蒸し返して妻を責めるようなことがあれば、妻からの離婚請求を認められる」と判断したのです。

つまり、浮気をした妻と離婚をしないなら、それは妻を許したことになる、そして再びその浮気を蒸し返して責め続けると、夫にとって不利になってしまうということです。

感情的に、なかなか受け入れられない判断であることについては、十分理解できますが、このような判例もあることは、念頭に置いておくべきでしょう。

まとめ

以上、妻の浮気を理由に、離婚したいと思った時に知っておきたい7つの注意点についてご紹介しました。
妻が浮気をした時には、その浮気の証拠を揃えることが重要であり、妻だけでなく浮気相手にも慰謝料を請求することができます。

子どもがいる場合には、浮気をした妻が親権者となるケースもあるので、別居する場合には子どもと離れないこと、そして普段から育児に積極的に参加していることをアピールできる材料を揃えておきましょう。