妻が浮気した!離婚したいと思った時の7つの注意点

妻の浮気を知った直後は、怒りやショックから「すぐに離婚したい」と考えることもあるでしょう。しかし、離婚や慰謝料請求を進めるうえでは、感情的に妻を問い詰める前に、証拠や夫婦関係の状況を整理することが大切です。
妻が配偶者以外の人と性的関係を持った場合には、民法上の「不貞な行為」に該当し、裁判上の離婚原因となる可能性があります。また、事情によっては、妻だけでなく浮気相手に慰謝料を請求できる場合もあります。
一方で、浮気相手への慰謝料請求が認められるかどうかは、夫婦関係がすでに破綻していなかったか、浮気相手が妻を既婚者と認識していたかなどによって変わります。子どもがいる場合には、2026年4月1日から始まった離婚後の共同親権制度についても理解しておかなければなりません。
この記事では、妻の浮気を理由に離婚を考えた時に確認しておきたい7つの注意点をご紹介します。

「妻の浮気」が増えているとは一概にいえない

「女性の社会進出によって妻の浮気が増えた」などと説明されることがありますが、仕事を持つ女性が増えたことと浮気の増加を直接結び付ける根拠はありません。

(1)司法統計は浮気の実数を示すものではない

裁判所の司法統計には、婚姻関係事件について、申立人が「性格が合わない」「異性関係」「精神的に虐待する」などの動機を挙げた件数が掲載されています。
ただし、この統計は、実際に不貞行為があったと裁判所が認定した件数でも、浮気を原因として離婚が成立した件数でもありません。申立人が主張した動機のうち、主なものを3つまで挙げる方式で重複集計されています。
したがって、司法統計だけを根拠に「妻の浮気が増えている」と断定することはできません。

(2)令和7年の司法統計では「異性関係」は1,823件

令和7年司法統計年報によると、婚姻関係事件で夫が申立人となったものは1万5,355件でした。そのうち、申立ての動機として「異性関係」が挙げられたものは1,823件です。
「その他」と「不詳」を除く具体的な動機の中では、「性格が合わない」「精神的に虐待する」に次いで3番目となっています。
ただし、先ほど説明したとおり、一つの事件で複数の動機が計上される重複集計です。「妻の浮気を理由に離婚した夫が1,823人いた」という意味ではありません。

申立ての動機 申立人
夫 妻
総数 15,355 42,136
性格が合わない 9,004 15,646
異性関係 1,823 5,393
暴力を振るう 1,367 7,025
酒を飲みすぎる 323 2,281
性的不調和 1,524 2,695
浪費する 1,784 3,463
病気 585 617
精神的に虐待する 3,320 10,995
家庭を捨てて省みない 658 2,434
家族・親族と折り合いが悪い 1,685 2,315
同居に応じない 1,288 612
生活費を渡さない 825 12,137
その他 3,263 5,164
不詳 1,048 4,977

※申立ての動機は、申立人が挙げた主な動機を3つまで重複して集計したものです。

参考:裁判所「令和7年司法統計年報・家事編」

「妻の浮気」で離婚を考えた時の7つの注意点

一般に、既婚者が自らの意思で配偶者以外の人と性的関係を持つことは、民法770条に定める「不貞な行為」に該当します。
ただし、日常会話で使われる「浮気」と、法律上の「不貞な行為」は必ずしも同じではありません。二人で食事をした、好意を伝え合った、頻繁に連絡を取ったというだけでは、直ちに不貞行為と認定されるわけではありません。

一方で、性的関係を直接撮影した証拠がなくても、ホテルへの出入りやメッセージ、宿泊記録などを組み合わせることで、不貞行為が認定される場合があります。
参考:e-Gov法令検索「民法」

(1)妻を問い詰める前に証拠を確保する

妻の浮気を疑った時には、すぐに問い詰めるのではなく、まずは現在入手できる証拠を保存しておきましょう。
先に妻を問い詰めると、メッセージや写真を削除されたり、浮気相手との連絡方法を変更されたりする可能性があります。妻が浮気を認めている場合でも、後になって発言を撤回することがあるため、客観的な資料を残しておくことが大切です。

不貞行為の証拠として検討されるものには、次のようなものがあります。

・妻と浮気相手がラブホテルに出入りする写真や動画
・浮気相手の自宅や宿泊施設で長時間過ごしたことが分かる記録
・性的関係をうかがわせるメール、SNS、チャットのやり取り
・ホテル、旅行、航空券などの予約記録や利用明細
・妻が不貞行為を認めた会話の録音や書面
・調査会社が作成した日時や行動経過の分かる報告書

一つの証拠だけでは不貞行為を立証できない場合でも、複数の資料を組み合わせることで、性的関係があったと推認されることがあります。証拠には、いつ、どこで、誰と会っていたかが分かる日時情報も残しておきましょう。
ただし、妻のスマートフォンのロックを無断で解除する、パスワードを使ってアカウントにログインする、浮気相手の敷地に立ち入る、無断で追跡アプリを入れるといった行為は、別の法的問題につながるおそれがあります。
どこまで調査してよいか分からない場合には、証拠集めを始める前に弁護士へ相談してください。

調査会社を利用する場合は、妻の行動パターンを整理して調査日を絞り、契約前に調査方法、料金体系、追加料金、キャンセル料、報告書の内容を確認しましょう。先に弁護士へ相談し、必要な証拠の程度を確認してから依頼する方法もありますし、弁護士に調査会社を紹介してもらえるケースもあります。

(2)一度だけの関係でも不貞行為になる可能性がある

「酔った勢いで一度だけ性的関係を持った」という場合でも、一度だけなら不貞行為にならないというルールはありません。自らの意思で配偶者以外の人と性的関係を持ったのであれば、一度だけでも不貞行為に該当する可能性があります。
ただし、不貞行為が認められれば、必ず離婚判決が出るとは限りません。
関係が一度だけで終了していること、妻が反省していること、夫婦関係を修復できる可能性、婚姻期間、子どもの状況などを総合的に考慮し、裁判所が婚姻の継続を相当と判断した場合には、離婚請求が認められないこともあります。

また、性的関係がなく、元交際相手を思い続けている、異性と二人で食事をしている、親密なメッセージを交わしているというだけでは、通常は民法上の不貞行為とは認定されません。
もっとも、妻が長期間にわたって家庭を顧みず、浮気相手との交際を優先し、夫婦関係が修復できない状態になった場合には、不貞行為そのものが立証できなくても、「婚姻を継続し難い重大な事由」を理由として離婚が認められる可能性があります。

(3)直接的な証拠がなくても立証できることがある

不貞行為は人目を避けて行われるため、性的関係そのものを撮影したような直接証拠が存在しないケースがほとんどです。
そのため、裁判では、ホテルへの出入り、深夜から翌朝までの滞在、旅行や宿泊の記録、性的関係をうかがわせるメッセージなどの間接的な事実を組み合わせて、不貞行為があったかどうかが判断されます。
したがって、決定的な写真がないからといって、直ちに慰謝料請求や離婚請求を諦める必要はありません。

一方で、「帰宅が遅くなった」「スマートフォンを隠すようになった」「特定の人と連絡を取っている」といった疑いだけでは、不貞行為を認定するには不十分な場合があります。
また、不貞行為を立証できない場合でも、妻の虚偽説明、無断外泊、家庭の放置、長期間の親密な交際などによって夫婦関係が破綻したことを立証できれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」による離婚を検討できます。
「不貞行為」と「婚姻を継続し難い重大な事由」は別の離婚原因であるため、どのような事実と証拠を主張するかを整理することが重要です。

(4)浮気相手にも慰謝料を請求できる場合がある

妻が不貞行為をした場合には、妻だけでなく浮気相手にも慰謝料を請求できる場合があります。
浮気相手に慰謝料を請求するためには、原則として、次のような事情が必要です。

・妻と浮気相手との間に性的関係があったこと
・性的関係を持った当時、夫婦関係がまだ破綻していなかったこと
・浮気相手が妻を既婚者だと知っていた、または注意すれば知ることができたこと
・不貞行為によって夫が精神的苦痛を受けたこと

妻が浮気相手に「独身である」と嘘をついていた場合には、浮気相手の故意や過失が否定され、慰謝料請求が認められない可能性があります。
ただし、「独身だと言われた」「夫婦関係は終わっていると言われた」という説明だけで、必ず浮気相手が免責されるわけではありません。浮気相手がその説明を信じたことに相当な理由があったかどうかが、具体的な事情に基づいて判断されます。
最高裁判所は2026年6月5日の判決で、浮気相手が夫婦の婚姻関係はすでに破綻していると信じ、そう信じることに相当な理由があった場合には、過失が否定される余地があると示しました。単に正式な離婚が成立しているかを確認しなかったという理由だけで、直ちに過失が認められるわけではありません。

また、不貞行為が始まる前から夫婦関係がすでに破綻していた場合には、原則として浮気相手に不貞慰謝料を請求できない可能性があります。

さらに、浮気相手に対して請求する「不貞行為自体の慰謝料」と、「夫婦を離婚させたことを理由とする離婚慰謝料」は区別されます。浮気相手に離婚そのものの慰謝料を請求できるのは、浮気相手が夫婦を離婚させる意図で不当に干渉したなど、特別な事情がある場合に限られます。
参考:最高裁判所「令和8年6月5日判決」

慰謝料請求権は、原則として、損害と加害者を知った時から3年間行使しないと時効によって消滅します。また、不法行為があった時から20年が経過した場合にも時効となります。
不貞行為が複数回続いていた場合や、浮気相手の氏名を後から知った場合などは、時効の起算点が問題になることがあります。時効が近い可能性がある時には、早めに弁護士へ相談してください。
なお、妻と浮気相手の双方に慰謝料を請求できる場合でも、同じ精神的損害について二重に満額を受け取れるわけではありません。一方が支払った金額は、もう一方の負担額にも影響します。

(5)妻の不貞行為と親権は別の問題

妻が不貞行為をしたからといって、父親が自動的に親権者となるわけではありません。

2026年4月1日から、離婚後の親権者については、父母双方を親権者とする共同親権と、父母の一方だけを親権者とする単独親権のいずれも選択できるようになりました。
協議離婚では、父母が話し合って共同親権とするか単独親権とするかを決めます。話し合いがまとまらない場合や裁判離婚の場合には、家庭裁判所が子どもの利益を基準に判断します。
家庭裁判所では、父母と子どもとの関係、これまでの養育状況、生活環境、父母間の関係、子どもの年齢や意向など、さまざまな事情が考慮されます。共同親権と単独親権のどちらかが原則となるわけではありません。

前述したとおり、妻の不貞行為は夫婦間の問題であり、それだけで親権者の判断が決まるものではありません。
ただし、妻が浮気を優先して子どもを長期間放置していた、子どもを危険な環境に置いた、浮気相手から子どもへの暴力や不適切な言動があったなど、子どもの養育に具体的な悪影響が生じている場合には、親権や監護を判断する事情として考慮される可能性があります。
また、子どもへの虐待のおそれがある場合や、DVなどによって父母が共同して親権を行使することが困難な場合には、家庭裁判所は単独親権としなければなりません。

共同親権になったからといって、子どもが父母の家を同じ日数ずつ行き来することになるわけではありません。子どもが主にどちらの家で暮らすか、誰が日常の監護を担当するかは、親権とは別に子どもの利益を優先して決めます。
参考:法務省「父母の離婚後等の子の養育に関する見直し」

子どもがいて、父親が親権者や監護者となることを希望している場合には、以下の記事もあわせてご覧ください。
参考:父親の親権 裁判所が重視する5つのポイント【2026年法改正対応】

(6)親権や監護を希望する時に知っておきたいこと

親権や監護を希望している場合には、妻の不貞行為を強く主張するだけでなく、自分が子どもの生活をどのように支えてきたかを具体的に示す必要があります。

一方的に子どもを連れて別居しない
以前は、「親権が欲しければ子どもと離れてはいけない」と説明されることがありました。しかし、親権争いで有利になることを目的として、一方的に子どもを連れて別居したり、相手に知らせず子どもの居所を変更したりすることは避けるべきです。

2026年4月施行の改正民法では、父母は、離婚後も子どもの利益のために互いの人格を尊重し、協力しなければならないことが明確になりました。正当な理由なく相手に無断で子どもを転居させた行為は、親権者の指定や変更の判断で考慮される可能性があります。

ただし、DVや虐待から避難する必要がある場合には、安全の確保が最優先です。この場合には、相手に無断で子どもと避難したとしても、直ちに協力義務違反となるわけではありません。
別居を考えている場合には、子どもの居所や監護について弁護士へ相談し、必要に応じて監護者指定、子の引渡し、審判前の保全処分などの手続を検討してください。

日頃の育児実績を客観的に整理する
親権や監護の判断では、「子どもを愛している」という気持ちだけでなく、これまで実際にどのような育児を担当してきたかが重要になります。
食事の準備、送迎、学校や保育園との連絡、通院、宿題、入浴、寝かしつけ、休日の世話など、自分が担当してきた内容を整理しましょう。
学校や保育園の連絡帳、通院記録、予定表、家族間のメッセージ、育児日記などが、日常的な養育状況を示す資料になることがあります。

一方で、子どもに妻の悪口を聞かせる、浮気の詳細を話す、どちらの親と暮らしたいか執拗に答えさせるといった行為は控えてください。夫婦間の争いに子どもを巻き込まない姿勢も重要です。

親権と日常の監護を分けて考える
共同親権となった場合でも、子どもの日常生活を父母が完全に半分ずつ担当するとは限りません。
子どもが主に暮らす場所や、日常的な世話を担当する親を定めることもできます。親権、監護、親子交流、養育費はそれぞれ関連していますが、別々に内容を整理する必要があります。

離婚後の親権者変更には家庭裁判所の手続が必要
「今は早く離婚したいので妻を親権者にし、落ち着いてから変更すればよい」と考えるのは危険です。
離婚後に親権者を変更するには、父母の合意だけでは足りず、家庭裁判所の手続が必要です。2026年4月以降は、一方の単独親権から共同親権へ、共同親権から一方の単独親権へ、一方の単独親権から他方の単独親権へ変更することも制度上可能です。

ただし、親の都合だけで変更できるわけではありません。家庭裁判所が、子どもの利益のために必要だと認めた場合に限られます。

(7)離婚しない場合は合意内容を整理する

妻が浮気をしても、子どもの生活や今後の家族関係を考え、離婚しない選択をすることがあります。すぐに結論を出せない時は、一定期間別居したり、夫婦カウンセリングを利用したりして考える方法もあります。
離婚しないことを選んだからといって、それだけで当然に不貞行為を許し、慰謝料請求権をすべて放棄したことになるわけではありません。

一方で、「離婚しない」と決めた後も、暴言や脅迫を繰り返す、行動を過度に監視する、職場やSNSで浮気を公表する、子どもの前で妻を責め続けるといった行為は、別の夫婦間トラブルや損害賠償請求につながるおそれがあります。
夫婦関係を再構築する場合には、感情的な約束だけで終わらせず、必要に応じて次のような事項を整理しておきましょう。

・浮気相手との関係や連絡を終了すること
・慰謝料を支払うか、将来の請求をどう扱うか
・再度不貞行為があった場合の対応
・別居する場合の生活費や子どもの養育費
・夫婦カウンセリングや第三者を交えた話し合い
・財産や住宅、子どもの生活に関する取決め

「慰謝料を請求しない」「今後一切の請求を放棄する」といった清算条項を含む合意書に署名すると、後から請求することが難しくなる可能性があります。内容を十分確認せずに署名しないようにしてください。

また、2026年4月1日の民法改正によって、婚姻中の夫婦間契約を婚姻中であるという理由だけで一方的に取り消せる旧民法754条は削除されました。夫婦関係を再構築するための合意書であっても、将来の影響を考えたうえで作成することが大切です。
合意書を作成する場合には、過大な違約金や一方に極端に不利な内容を定めるのではなく、弁護士に確認してもらうと安心です。

まとめ

妻の浮気を理由に離婚を考えた時には、妻を問い詰める前に、合法的な方法で証拠を保存することが大切です。
不貞行為が立証できれば、妻に離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。また、夫婦関係が破綻する前に、妻が既婚者であることを知りながら、または注意すれば知ることができたのに性的関係を持った浮気相手にも、慰謝料を請求できる場合があります。

ただし、浮気相手が夫婦関係はすでに破綻していると信じる相当な理由があった場合には、慰謝料請求が認められない可能性があります。2026年6月の最高裁判決も踏まえ、浮気相手の認識や夫婦関係が破綻した時期を丁寧に確認しなければなりません。
子どもがいる場合には、妻の不貞行為と親権・監護の問題を分けて考えましょう。2026年4月からは、離婚後の共同親権と単独親権の両方が選択できるようになっています。妻の浮気だけで親権者が決まるのではなく、子どもの利益やこれまでの養育状況が重視されます。
離婚、慰謝料、財産分与、親権、監護、養育費は、それぞれ必要となる証拠や手続が異なります。妻に離婚を切り出したり、浮気相手に連絡したりする前に、離婚問題を扱う弁護士に相談することをおすすめします。