離婚調停では、申立書と一緒に陳述書を提出することができます。陳述書とは、自分の言い分や希望などを調停委員に理解してもらうために作成する書面のことです。
1回の離婚調停の時間は2~3時間と限りがあり、この限りある時間内に自分の言い分を調停委員に理解してもらうのは、なかなか困難です。
そこで、この限られた調停の時間を有効に使うためのポイントとなるのが、陳述書というわけです。
陳述書は、離婚調停を行ううえで必ず提出しなければならない書類というわけではありませんが、調停前に提出しておけば調停委員に内容を理解してもらうことができるので、調停がスムーズに開始するというメリットがあります。
陳述書は書式などにルールがあるわけではありません。結婚までの経緯や離婚するきっかけになった事柄などを、調停委員に分かりやすく時系列に沿ってまとめることが大切です。
Contents
離婚調停の陳述書とは
離婚調停の陳述書とは、離婚調停で申立をする際に一緒に提出することができる書面のことをいいます。
陳述書には、結婚までの経緯や夫婦間の問題、現在の状況や離婚条件の要望を分かりやすくまとめます。
当事者は、調停の場で書面ではなく口頭で自分の言いたいことを言えますが、限りある時間で自分の言い分を全て調停委員に伝えるのはなかなか難しいものですし、つい感情的になってしまうこともあるでしょう。
そんな時に事前に陳述書を提出しておけば、書面で言いたいことや結婚生活が破綻するまでの経緯、自分の希望していることを調停委員に理解してもらうことができるのです。
(1)陳述書で自分の考えがまとまる
陳述書には、これまでの経緯や自分が望む離婚条件などを時系列に記載します。
事前に陳述書を作成しておくと、何の準備もなくいきなり離婚調停に臨むより、自分の考えがまとまるというメリットがあります。
文章にして読み返してみると、自分の主張が明確になり、その主張を裏づけるためにはどのような証拠が必要になるかなどについても整理することもできます。
(2)緊張しがちな人に特に効果的
調停はあくまでに当事者間の話し合いの場です。ですから、緊張する必要も恐れる必要も全くありません。しかし、そうは言っても調停という特殊な場所で緊張してしまうのは、無理のないことでしょう。
とくに普段から緊張しがちであったり、自分の考えや希望を上手に伝える自信がない人にとっては、調停に出席するというだけで、相当のパワーがかかるものです。
このような時にも事前に陳述書を作成しておけば、その陳述書に沿って自分の言い分を説明することができるので、緊張を和らげることができます。
(3)事情説明書に書ききれないことを書ける
離婚調停の申し立てには、申立書や夫婦の戸籍謄本などが必要ですが、夫婦関係の事情説明書や未成年のお子様がいる場合には、お子様についての事情説明書を書いて家庭裁判所に提出する必要があります。
事情説明書には、「調停ではどのようなことで対立すると思うか」「婚姻期間と別居期間」「それぞれの収入」などについて記載しますが、事情説明書の欄には書ききれない事情や思いがあるでしょう。そんな時に陳述書を作成すれば、調停委員に理解してほしい自分の思いや事実を書面にして伝えることができるのです。
なお、事情説明書の書き方については、以下の記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
▶ 事情説明書(離婚調停)の書き方(記載事例付き)
(4)陳述書を作成すると調停が効率よく進む
離婚調停で陳述書を提出しておけば、調停委員がその事情説明書に目を通した状態で調停がスタートすることになります。
つまり、申立書や事情説明書に書ききれない事実や自分の考えを調停委員に伝えたうえで調停がスタートすることになりますので、調停がスムーズに開始しますし、限られた調停の時間を有効に使うことができるようになります。
陳述書の書き方
陳述書の書き方に、ルールはありません。
陳述書を提出する目的は、「どのようなことがあって」「自分がどうしたいのか」を忙しい裁判官や調停委員に理解してもらうことなので、事実関係や自分の考えを簡潔に書面にまとめることが大切です。
主観的な印象や意見ばかりではなく、客観的な事実を書くように注意します。
自分に不利になることは書く必要はありませんが、だからといって相手への悪口や愚痴を書きつらねるのは調停委員にマイナスのイメージを与えてしまうので注意しましょう。
(1)陳述書の書き方
書面の表題は「陳述書」と記載し、陳述書の作成年月日を記載します。
宛名は申立てを行う、裁判所の担当部署を書きます。
あとは、離婚を考えるきっかけになったことから、これまでの経緯を、できるだけわかりやすく客観的にまとめます。
陳述書に記載した方がよい内容 ・申立人の氏名・性別・年齢・現住所 ・申立人の職業、勤務先、雇用形態・年収 ・相手方の氏名・性別・年齢・現住所 ・夫婦の資産状態 ・子供の有無 名前、年齢、性別、同居の有無等 ・結婚に至るまでの経緯 |
陳述書サンプル
以下は、陳述書のサンプルです。要点だけ抑えた大変シンプルな陳述書です。
(2)陳述書を書く際の注意点
結婚までの経緯や離婚を考えるきっかけとなった事柄、当事者間の離婚協議の状況、自分の考えや希望などを時系列にそって、わかりやすく簡潔に書いていくのが基本です。
相手への不満を書く場合にも、罵詈雑言を書き連ねることは避けて「令和○年○月○日、○○と言われた」「令和○年○月○日、○○は家を出て行った」など、冷静に客観的な事実を記載するようにします。
離婚調停の陳述書を書く時の注意点 |
まとめ
以上、離婚調停で提出するとよい陳述書についてご紹介しました。
陳述書は、結婚生活や結婚生活が破綻した経緯などをまとめる書面で、「離婚調停の前に調停委員に自分の主張を伝えることができる」「調停をスムーズに進めることができる」などのメリットがあります。
陳述書は、内容ごとに見出しを付けたり時系列にまとめたりして、分かりやすく簡潔にまとめることが大切です。事実と異なることは絶対にNGです。また相手への不満や恨みを書くことも控えます。相手が陳述書を閲覧できることも考慮して、事実を簡潔にまとめるようにしましょう。
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