ひとり親家庭が利用できる制度・手当・支援まとめ

離婚後、ひとり親家庭になった場合には、離婚後の生活を支援してくれる制度をフル活用しましょう。

ひとり親家庭というと、「児童扶養手当」をイメージする人も多いと思いますが、ひとり親への支援制度は児童扶養手当だけではありません。

母子福祉資金、女性福祉資金、ハローワークの就業支援など、さまざまな公的支援が用意されています。

また、自治体によって独自の優遇制度が設けられていることもあります。これらの支援制度は、所得制限や資格が必要になるものもあるので、市区町村役場や保健福祉事務所に問い合わせてみましょう。

ひとり親家庭が利用できる制度とは

ひとりで子育てするのは、想像以上に大変です。とくに母子家庭の経済状況は、たいへん厳しくなる可能性もあります。

国や自治体は、母子家庭や父子家庭などのひとり親を支援するためのさまざまな制度を設けています。これらの制度のなかには自分から申請をしないと利用できない制度もありますので、役所に行って条件や資格を聞いてみるなどして、上手に利用するようにしましょう。

児童扶養手当

児童扶養手当とは、国の制度で、満18歳までの子どもを養育しているひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)の生活の安定と自立を促進することを目的とした制度です。

父母が離婚した児童のほか、父母の死亡や生死不明、父親または母親によって1年以上遺棄された状態の子どもや、未婚の母の子どもなども児童扶養手当の支給対象になります。
申請が受理された翌月から支給が開始されますので、早めに申請を行いましょう。

なお、支給されるためには扶養親族の所得制限があり、所得金額に応じて全額または一部支給となります。所得制限を超えると支給されません。

養育費を受け取っている場合は、養育費の8割が収入とみなされます。

第1子の支給金額が収入に応じて変わりますが、第2子は月額5000円、第3子以降は月額3000円が加算されます。

障がいのある子どもを対象とした特別児童扶養手当もあります。

児童育成手当

児童育成手当とは、地方自治体の制度で、支給条件を満たせば、児童扶養手当とは別に支給されます。
対象は18歳未満の子どもがいるひとり親家庭ですが、自治体ごとに所得制限やそのほかの条件が異なり、金額も異なります。

住まいの支援

離婚後でも、今住んでいる住居にそのまま住み続けられるのであれば、問題はありません。また、実家に頼ることも、検討しましょう。
けれども、離婚後の住まいに困る場合には、各種住まいの支援制度を活用しましょう。

母子生活支援施設

母子家庭に住居を提供したり、母子指導員による自立支援や就労支援などを行っています。乳幼児の保育を行っている施設もあります。
集会・学習室等があり、母子支援員、少年指導員等の職員が子どもの学習指導を行っていることもあります。

▶ 母子生活支援施設とは

母子アパート

母子家庭で住宅に困っている人を対象に、母子家庭専用の都営住宅に入居できる場合もあります。
審査で月収基準に満たない場合でも、各自治体から交付される「児童育成手当」「児童扶養手当」を月収額に合算して収入審査を受けることができます。

▶ 東京都住宅供給公社「ひとり親世帯入居サポート」

都営住宅の優遇

一般の都営住宅への当選率が、一般世帯より最大7倍程度高く優遇されます。住宅使用料の負担が2分の1になる特別減額を受けられることもあります。

▶ 東京都住宅政策本部「都営住宅の優遇抽せん」

税金などの軽減

母子・父子家庭で一定の要件を満たしている場合には、所得税・住民税の軽減措置や、国民健康保険料の減免などの優遇措置を受けられることがあります。

所得税・住民税の優遇

母子・父子家庭で一定の要件を満たしている場合には、所得税・住民税の軽減措置が受けられます。これを寡婦(寡夫)控除といいます。

寡婦(寡夫)控除とは、配偶者と死別または離別した場合で、一定の要件に該当する時に受けることができる控除です。
離別か死別か、または性別や年収によって控除額が変わります。「特定の寡婦」に該当する場合には、控除額が35万円となります。

▶ 国税庁「寡婦控除」

国民健康保険料の減免

国民健康保険や国民年金の保険料を納めるのが困難な時は、減額や免除されることがあります。総所得金額等が一定の基準以下の世帯の場合には、均等割額を7割、5割または2割減額します。各自治体に問い合わせをしてみましょう。

水道料金の減免

児童扶養手当が支給される場合、水道の基本料金と従量料金、下水道料金の減額や免除を受けることができます。
地域の水道局に問い合わせ、必要な書類などについて質問して手続きを行いましょう。

▶ 東京都水道局「水道料金・下水道料金の減免のお手続き」

日常生活の支援

ひとり親家庭には、医療費や交通費の優遇など、日常生活の支援してくれる制度も多々あります。それぞれ要件は異なりますが、受けられる優遇措置は、なるべく受けておきましょう。

ひとり親家庭の医療費助成

医療費助成制度とは、満18歳までの子ども(中程度の障害がある場合は万20歳未満)を持つ親とその子どもを対象としたもので、保険診療費のうち、自己負担分の助成が受けられる制度です。ただし、所得制限がありますので、各自治体に問い合わせをしてみましょう。

ひとり親家庭休養ホーム

ひとり親家庭で旅行などに出かける場合、指定された宿泊施設や日帰り施設の利用を、一部助成してもらうことができます。
親が頑張り過ぎて精神的に不安定になってしまうと、子どもの心にも影響します。
ひとり親の支援制度をじょうずに利用して、無理をしないようにしましょう。

都営交通の無料乗車券

児童扶養手当が支給されている世帯で、1人に限り、都電、都バス、都営地下鉄の無料乗車券が交付されます。

JR通勤定期乗車券の割引

児童扶養手当が支給されている世帯で、JRを利用して通勤している場合には、通勤定期乗車券を3割引きで購入することができます。

生活保護

失業や病気で収入が少なくて、生活を維持することができない場合には生活保護の制度を受けることができます。生活保護を受けるためには厳しい条件があり、申請後に福祉事務所などが自宅を訪問して給与明細や預金通帳について調査をして認定を受けて、はじめて支給されます。
自動車を保有している場合には、原則として生活保護は認められませんし、生命保険の解約を求められることもあります。

母子家庭の就労支援

離婚後は、積極的に仕事の情報を集め、就職するために必要な資格を取得するなどしておきたいところです。
マザーズハローワークや母子家庭等就業・自立支援などの支援事業の利用も検討しましょう。

マザーズハローワーク

マザーズハローワークでは、家事・育児と仕事の両立ができるように、さまざまな情報を提供しています。
福祉の仕事は女性の求人が多いですし、在宅就業の支援がある場合もあります。
託児サービスつきの就業セミナーが開催されていることもありますので、問い合わせてみましょう。

▶ 厚生労働省「マザーズハローワーク・マザーズコーナー」

母子家庭等就業・自立支援事業

母子家庭等就業・自立支援事業は、母子家庭の母親が収入面、雇用条件でよりよい就業ができ、経済的に自立できるように支援するために平成15年からスタートした事業です。
就業相談、資格取得のための講習会、ハローワークと連携した就業情報の提供なども行っています。
なお、弁護士や専門家が養育費の履行確保について無料相談を行っていることもあります。

▶ 厚生労働省「母子家庭等就業・自立支援センター事業について」

ひとり親家庭のための各種資金

ひとり親は、就労する際や住宅審査の際に、不利になってしまうこともあります。そこで、母子家庭を支援するための各種資金が用意されています。

母子福祉資金・父子福祉資金

「母子福祉資金」とは、母子家庭を対象とした資金制度です。事業、住宅、就職などに必要な各種資金を無利子または低金利で借りることができます。

▶ 東京都福祉保健局「母子福祉資金・父子福祉資金の貸付け」

女性福祉資金

「女性福祉資金」とは、配偶者のいない女性を対象とした資金の貸付です。保証人1人が必要となります。事業、住宅、就職などの各種資金について、無利子または低金利で借りることができます。

▶ 東京都福祉保健局「女性福祉資金の貸付」

生活福祉資金

「生活福祉資金」とは、所得の少ない世帯を対象とした資金です。教育支援や福祉に必要な資金を借りることができます。ただし、母子家庭の場合には、母子福祉資金や女性福祉資金が優先されます。

▶ 厚生労働省「生活福祉資金」

まとめ

以上、ひとり親が利用できる支援制度についてご紹介しました。
上記でご紹介した以外にも、シングルマザーのシェアハウスなどもありますし、各自治体では就労支援セミナーなどを行っていることもあります。
また、離婚したい時にはできれば離婚前にスキルアップや就職をしておくのがおすすめです。離婚してから子どもを抱えての職探しは、本当に大変ですが、資格があれば有利になることもありますので、ハローワークの職業訓練制度などを利用して資格取得することも考えましょう。