離婚を経験した人から、「離婚は結婚するとき以上に大変だった」という話を聞くことがあります。
実際に離婚するとなれば、財産分与、年金分割、慰謝料の有無、住まい、仕事など、今後の生活に関わる多くのことを決めなければなりません。
未成年の子どもがいる場合は、離婚後の親権者を父母双方とするか、一方とするかを原則として定めます。さらに、子どもの監護、養育費、親子交流などについても話し合う必要があります。2026年4月1日からは、離婚後の共同親権を選択できる制度が始まりましたが、共同親権と単独親権のどちらが原則という決まりはなく、子どもの利益を基準に判断されます。
十分な準備をしないまま、感情に任せて離婚を急ぐと、離婚後の生活に困ったり、本来請求できた財産分与を受けられなかったりすることがあります。
そこでこの記事では、離婚後の後悔やトラブルを防ぐために、離婚前に考えておきたい10個のポイントを紹介します。
離婚するべきか悩んだ時に考えたい10個のこと
厚生労働省の人口動態統計によると、2025年の離婚件数は17万9,068組でした。前年の18万5,904組から減少しており、2002年の28万9,836組をピークに、長期的には減少傾向が続いています。
| 年 | 離婚件数 |
|---|---|
| 2023年 | 18万3,814組 |
| 2024年 | 18万5,904組 |
| 2025年 | 17万9,068組 |
離婚件数が増えているか減っているかにかかわらず、離婚はその後の生活を大きく変える手続です。
親権、子どもの監護、養育費、親子交流、財産分与、年金分割、慰謝料などを整理し、必要な取り決めを書面に残しておくことが、離婚後のトラブルを減らすことにつながります。
(1)本当に離婚すべき?客観的に冷静に考えよう
離婚したいと思い始めると、相手の何もかもが嫌になり、「とにかく1日でも早く離婚したい」と感じることがあります。
つらい結婚生活から早く離れたいと思うのは、無理もありません。しかし、強い怒りや悲しみの中では、離婚条件や離婚後の生活について十分に考えられないこともあります。
離婚以外にも、一定期間の別居、夫婦関係調整調停のうち円満調停、夫婦カウンセリングなどの選択肢があります。離婚するか迷っている段階では、信頼できる人や専門家へ相談し、自分の状況を言葉にして整理することも大切です。
ただし、DV、子どもへの虐待、脅迫、激しい束縛などがある場合は、冷静な話し合いや関係改善を優先してはいけません。警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所、弁護士などへ相談し、安全を確保してください。
(2)裁判で主張できる「離婚原因」はある?
夫婦が離婚することに合意している場合は、法律上の離婚原因がなくても協議離婚できます。
一方、自分が離婚を望んでいても、相手が離婚に応じるとは限りません。話し合いで合意できなければ、家庭裁判所の離婚調停を利用し、それでも解決できない場合は、離婚訴訟を検討します。
判決によって離婚を認めてもらうには、民法第770条に定められた法定離婚事由が必要です。
2026年4月1日の法改正により、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という旧第4号は削除されました。現在の法定離婚事由は、従来の5つではなく、次の4つです。
| 法定離婚事由 | 主な内容 |
|---|---|
| 配偶者に不貞行為があったとき | 配偶者以外の人と、自由な意思に基づいて性的関係を持った場合 |
| 配偶者から悪意で遺棄されたとき | 正当な理由なく、夫婦の同居・協力・扶助義務を意図的に果たさない場合 |
| 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき | 配偶者が生きているか死亡しているか分からない状態が3年以上続いている場合 |
| その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき | DV、深刻な暴言、長期間の別居などにより、夫婦関係が修復できない状態に至っている場合 |
「性格が合わない」「愛情がなくなった」という事情だけで、直ちに裁判離婚が認められるわけではありません。
ただし、深刻な対立が長期間続いている、夫婦としての交流が失われている、長く別居しているなどの事情が重なれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断される可能性があります。
また、自らの不貞行為などによって夫婦関係を破綻させた有責配偶者からの離婚請求は、通常よりも厳しく判断されます。ただし、有責配偶者からの請求が一切認められないわけではなく、別居期間、未成熟の子どもの有無、相手の経済状態などを踏まえて個別に判断されます。
有責行為があったからといって、必ず慰謝料を支払うことになるわけでもありません。慰謝料は、違法な権利侵害、精神的苦痛、因果関係などに基づいて判断されます。
(3)夫婦関係を改善する努力をしたか
離婚について考え始めると、「離婚すれば今の苦しみから解放される」という思いが強くなることがあります。
しかし、安全上の問題がなく、夫婦双方に関係を見直す意思がある場合は、話し合いによって問題を改善できる可能性もあります。
相手に対する不満だけでなく、今後どのような生活を望んでいるのか、どのような点を改善してほしいのかを具体的に伝えてみましょう。
例えば、次のような問題を分けて話し合います。
- 家事や育児の分担
- 生活費や貯蓄の管理
- 仕事と家庭の優先順位
- 相手の親族との付き合い方
- 夫婦で過ごす時間
- 暴言や相手を傷つける言い方
夫婦だけでは話が進まない場合は、夫婦カウンセリングや円満調停を利用する方法もあります。
ただし、関係改善の努力は義務ではありません。DV、虐待、脅迫、性的な強要などがある場合は、「自分にも悪いところがある」と考えて耐えるのではなく、安全確保を優先してください。
(4)離婚して後悔しないか
離婚すると、住まい、仕事、家計、子どもの生活、親族との関係など、さまざまなことが変わります。
結婚後に仕事を辞めていた場合は、就職や収入の確保が課題になります。現在の住宅に住み続けられない場合は、転居先や初期費用も準備しなければなりません。
未成年の子どもがいる場合は、親権者を父母双方とするか、一方とするかだけでなく、次の事項も検討します。
- 子どもが主にどこで暮らすか
- 誰が日常的な監護を担当するか
- 転校や転園が必要になるか
- 養育費をいくら、いつまで支払うか
- 親子交流をどのように行うか
- 進学や医療などの重要事項をどう決めるか
子どもの意見は、年齢や発達の程度に応じて尊重する必要があります。ただし、「どちらの親と暮らしたいか」と迫り、子どもに離婚の責任を負わせるような聞き方は避けるべきです。親権や監護については、大人が子どもの利益を基準に判断しなければなりません。
介護している親族がいる場合は、離婚後も介護を続けられるか、仕事や住居と両立できるかについても確認します。
離婚後に起こり得る問題を書き出し、それでも離婚することが自分や子どもにとって必要なのかを考えてみましょう。
(5)離婚して本当に今より良くなるか
今のつらい状況は、離婚によって本当に改善するのでしょうか。
離婚後の生活を、感情だけでなく具体的な数字や予定に置き換えて考えることが大切です。
| ・毎月の収入はいくらになるか ・家賃や住宅ローンを支払えるか ・子どもの保育や送迎をどうするか ・健康保険や年金の手続をどうするか ・頼れる親族や支援機関があるか ・相手との連絡をどのように行うか ・財産分与や養育費を実際に受け取れる見込みがあるか |
離婚届を提出すれば、夫婦関係は解消されます。しかし、経済的な問題や子どもをめぐる問題まで自動的に解決するわけではありません。
一方、DVや虐待などがある場合は、離婚後の生活が不安だからといって、危険な環境にとどまり続ける必要はありません。自治体や支援機関へ相談し、安全な住まいや生活費を確保する方法を検討してください。
(6)子どもにとって離婚はよい選択か
離婚は夫婦関係を解消する手続であり、親子関係を解消するものではありません。
2026年4月以降、未成年の子どもがいる父母は、離婚後の親権者を父母双方とする共同親権か、父母の一方とする単独親権かを定められます。
共同親権を選んだからといって、子どもが父母の家を同じ日数ずつ往復しなければならないわけではありません。父母の一方を監護者と定め、子どもの日常生活や居所に関する判断をその親へ委ねることもできます。
離婚後の生活を考える際は、次の点を確認しましょう。
- 子どもの生活環境を大きく変えずに済むか
- 学校や友人関係を維持できるか
- 父母の争いに子どもを巻き込まない方法があるか
- 別居する親との関係を安全に維持できるか
- 養育費や教育費を確保できるか
- 子どもの年齢や発達に応じた意向を確認しているか
親子交流は、親の権利を満たすためではなく、子どもの利益を基準に決める必要があります。DVや虐待のおそれがある場合は、安全を最優先にし、交流を行わない、第三者機関を利用するなどの対応を検討します。
(7)離婚後の経済的な見通しはついているか
離婚後の生活では、毎月の収支を具体的に見積もることが重要です。
慰謝料、財産分与、養育費は、生活費を一生保障する制度ではありません。相手に支払能力がなかったり、途中で支払いが止まったりする可能性も考えておく必要があります。
次の項目を使い、離婚後の家計表を作ってみましょう。
| 収入として確認するもの | 支出として確認するもの |
|---|---|
| 給与・事業収入 | 家賃・住宅ローン |
| 養育費 | 食費・水道光熱費 |
| 児童扶養手当などの給付 | 保育料・教育費 |
| 財産分与 | 健康保険・年金 |
| 年金分割 | 通信費・交通費 |
| 親族からの援助 | 医療費・保険料 |
2026年4月1日以降に離婚し、養育費の取り決めをしていない場合は、子どもを主に監護する親が、他方の親へ子ども1人につき月額2万円の法定養育費を暫定的に請求できる制度が始まりました。
ただし、月額2万円は正式な養育費を決めるまでの暫定的・補充的な金額です。父母の収入や子どもの生活状況を踏まえ、別途適正な養育費を取り決める必要があります。
ひとり親家庭には、児童扶養手当、就業支援、生活支援、貸付制度などがあります。利用できる制度は自治体や所得によって異なるため、離婚前から自治体のひとり親支援窓口へ相談しておきましょう。
生活費を確保できない場合は、生活保護の相談・申請も選択肢です。生活保護は「簡単にもらえないから諦めるもの」ではなく、法律上の要件を満たすかを福祉事務所が判断する制度です。生活に困っている場合は、現在住んでいる地域の福祉事務所へ相談してください。
(8)別居期間を設けたか
離婚する前の冷却期間として、別居を検討する方法があります。
ただし、離婚前に必ず別居しなければならないわけではありません。別居期間があれば自動的に離婚できるものでもなく、法律には「何年以上別居すれば離婚が認められる」という一律の基準もありません。
別居する場合は、次の事項を整理します。
- 別居の目的と期間
- どちらが自宅を出るか
- 家賃や住宅ローンの負担
- 別居中の婚姻費用
- 家具や私物の持出し
- 子どもの住居、学校、監護
- 親子交流の方法
正当な理由のない別居が長期間続き、生活費も支払わないなどの事情があれば、悪意の遺棄が問題になる可能性があります。
しかし、相手の承諾を得ずに別居したというだけで、直ちに同居義務違反や悪意の遺棄になるわけではありません。DV、虐待、強い威圧などから避難する場合は、相手に事前に別居先を伝える必要はありません。
子どもを伴って別居する場合も、「親権で有利になるために先に連れて出る」と考えるべきではありません。安全上の緊急性がない場合は、子どもの住居、学校、養育方法について相手と協議し、難しい場合は弁護士や家庭裁判所へ相談します。
一方、DVや虐待から避難する必要がある場合は、相手の承諾を待たず、子どもと安全な場所へ移ることができます。無断で転居したことだけを理由に、父母の協力義務違反になるわけではありません。
別居中の生活費について話がまとまらない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることができます。
(9)弁護士などの意見は聞いたか
離婚について一人で悩み続けると、相手の言葉や自分の感情だけを基準に判断してしまうことがあります。
友人や家族へ相談することも支えになりますが、相談する相手によって意見が大きく異なることがあります。
夫婦関係を続けるかどうかを整理したい場合は、夫婦問題のカウンセラーや公的相談窓口が役立つことがあります。一方、親権、養育費、財産分与、慰謝料、別居、証拠などの法的な問題については、弁護士へ相談する必要があります。
弁護士へ相談したからといって、必ず離婚しなければならないわけではありません。現在の状況で離婚が認められる可能性や、離婚した場合にどのような条件が考えられるのかを知ったうえで、離婚しない選択をすることもできます。
(10)離婚成立までの手順は理解しているか
離婚の主な方法には、次のものがあります。
協議離婚
夫婦が話し合い、離婚に合意して離婚届を提出する方法です。
協議離婚では、法律上の離婚原因は必要ありません。協議離婚の届書には夫婦の署名と、成年の証人2人の署名が必要です。押印は任意です。
未成年の子どもがいる場合は、原則として離婚後の親権者を父母双方とするか、一方とするかを定めます。共同親権とする場合も、子どもの監護、居所、養育費、親子交流などを具体的に取り決めておくことが重要です。
調停離婚
夫婦だけでは話し合いがまとまらない場合や、話し合うことが難しい場合に、家庭裁判所の調停を利用して合意を目指す方法です。
調停では、離婚だけでなく、親権、子どもの監護、養育費、親子交流、財産分与、年金分割、慰謝料なども話し合えます。
審判離婚
調停で大部分の合意ができているものの、わずかな点で成立しない場合などに、家庭裁判所が調停に代わる審判をすることがあります。
当事者が告知を受けてから2週間以内に異議を申し立てると、審判は効力を失います。利用される場面は限定的です。
裁判離婚
調停でも離婚について合意できない場合に、家庭裁判所へ離婚訴訟を提起し、判決による離婚を求める方法です。
離婚訴訟を提起するには、原則として先に離婚調停を行う必要があります。また、判決で離婚を認めてもらうには、法定離婚事由が必要です。
離婚条件について合意した場合は、口約束で終わらせず、離婚協議書や公正証書などの書面に残します。
特に、財産分与、慰謝料、養育費などの金銭支払いについて、直ちに強制執行できる形を希望する場合は、強制執行認諾文言付き公正証書の作成を検討します。
2026年4月からは、養育費を父母間の文書で取り決めた場合、そのうち子ども1人につき月額8万円まで先取特権が認められ、一定の条件で債務名義がなくても差押えを申し立てられる制度が始まりました。ただし、書面を作れば自動的に回収されるわけではなく、裁判所への申立てが必要です。
また、2026年4月1日以降に離婚した場合、家庭裁判所へ財産分与を請求できる期間は、原則として離婚後5年です。2026年3月31日以前に離婚した場合は、原則として離婚後2年となります。
厚生年金の年金分割についても、2026年4月1日以降に離婚した場合の請求期限は原則5年に延長されました。それ以前に離婚した場合は、原則2年です。
それでもどうしても離婚したい時
ここまで検討したうえで、それでも離婚したいという気持ちが変わらない場合は、離婚に向けた準備を始めます。
相手との関係が比較的穏やかであれば、準備を整えてから話し合いを始める方法があります。一方、DV、虐待、財産隠し、証拠隠滅のおそれがある場合は、相手へ離婚を伝える前に弁護士や支援機関へ相談し、安全確保や資料の保存を優先します。
(1)自分名義の口座を用意しておく
給与や公的給付などを受け取るため、自分名義の銀行口座を用意しておきましょう。
ただし、夫婦の共有財産を相手に知らせず自分の口座へ移し、隠してよいという意味ではありません。
婚姻中に夫婦の協力によって築いた預貯金は、名義にかかわらず財産分与の対象になる可能性があります。共有財産を無断で多額に移動させると、後の財産分与で問題になることがあります。
一方、次のような財産は、原則として特有財産となります。
- 結婚前から保有していた預貯金
- 相続によって取得した財産
- 自分だけに贈与された財産
特有財産であることを主張するには、婚姻前の通帳、相続関係書類、贈与契約書などが必要です。
共有財産と特有財産が同じ口座で混ざっている場合は、自己判断で全額を移すのではなく、取引履歴を保存して弁護士へ相談しましょう。
(2)財産分与リストを作っておく
財産分与は、夫婦が婚姻中に取得・維持した財産について、離婚時に公平な分配を図る制度です。
2026年4月施行の改正民法では、財産の取得や維持に対する夫婦の寄与は、特別な事情がない限り原則として同程度、つまり2分の1ずつとする考え方が明文化されました。家事や育児による貢献も考慮されます。
財産分与の検討では、プラスの財産だけでなく、住宅ローンや借入金なども確認します。
財産分与リスト
| ①不動産……登記事項証明書、固定資産税通知書、査定書 ②預貯金……通帳、取引明細、残高証明書 ③収入……給与明細、源泉徴収票、確定申告書 ④株式・投資信託など……証券会社の残高報告書 ⑤自動車……車検証、査定資料 ⑥生命保険……保険証券、解約返戻金証明書 ⑦退職金……就業規則、退職金見込額に関する資料 ⑧貴金属・高額品……購入時の領収書、鑑定書 ⑨暗号資産・電子マネー……残高や取引履歴 ⑩負債……住宅ローン、カードローン、その他の借入金 |
家具や一般的な家電は、中古価格が低く、細かく金銭評価するよりも現物を分けることがあります。
相手名義の財産についても、金融機関名、支店名、口座の種類など、分かる範囲で記録しておきましょう。相手のアカウントへ無断でログインするなど、違法性が問題になる方法で調査するのは避けてください。
(3)浮気、暴力などがあれば、証拠を集めておく
相手の不貞行為や暴力を理由として離婚や慰謝料を求める場合は、事実を裏付ける資料を保存します。
不貞行為に関する資料としては、次のようなものがあります。
- ホテルや相手の自宅への出入りが分かる写真
- 性的関係をうかがわせるメッセージ
- 宿泊や旅行の予約記録
- クレジットカードの利用明細
- 不貞行為を認めた録音や書面
- 調査会社の報告書
DVや子どもへの虐待に関する資料としては、次のようなものがあります。
- けがや壊された物の写真
- 暴言や脅迫の録音
- 医療機関の診断書や診療記録
- 警察や相談機関への相談記録
- 出来事の日時と内容を記録した日記
ただし、暴力が続いている場合は、証拠を集めるために危険な場所へとどまってはいけません。命や身体の安全を優先して避難し、避難後に収集できる資料を弁護士と確認します。
(4)別居する
同居したままでは冷静に話し合えない場合や、安全を確保する必要がある場合は、別居を検討します。
別居期間は、婚姻関係が破綻しているかを判断する事情の一つになります。ただし、別居が長ければ自動的に離婚が認められるわけではありません。
また、「一方的な別居は必ず不利になる」「親権を得るには必ず子どもを連れて出る」という考え方も正確ではありません。
安全上の問題がない場合は、子どもの住居、学校、監護、親子交流について相手と協議します。父母双方が親権者となっている間の子どもの転居は、通常、子どもの生活へ大きな影響を与える重要事項です。
ただし、DVや虐待から緊急に避難する場合は、相手へ事前に知らせたり、同意を得たりする必要はありません。
別居前後には、次の点も確認します。
- 別居中の婚姻費用
- 住宅ローンや家賃の負担
- 通帳、身分証、健康保険関係書類
- 子どもの学校や医療情報
- 郵便物の転送
- 相手へ知らせる連絡先の範囲
自分の意思に反して離婚届を提出されるおそれがある場合は、市区町村へ離婚届の不受理申出をしておく方法があります。
(5)離婚原因がない場合は解決金も含めて検討する
相手に不貞行為や暴力などがなく、単に愛情が冷めたという場合でも、相手が合意すれば離婚できます。
一方、相手が離婚を拒み、夫婦関係が客観的に破綻しているとも認められない場合は、裁判による離婚が認められない可能性があります。
また、離婚を成立させるために形式的な別居を続ければよいというものでもありません。別居中も婚姻費用を負担する必要があり、生活費を止めたり財産を隠したりすれば、かえって争いが大きくなる可能性があります。
(6)弁護士に相談しておく
弁護士への相談は、調停や裁判が始まってからでなければできないものではありません。
離婚を考え始めた段階で相談すれば、次の事項を整理できます。
- 裁判上の離婚原因があるか
- 離婚を切り出す前に確保すべき資料
- 別居の進め方
- 親権や子どもの監護
- 養育費や婚姻費用
- 財産分与や年金分割
- 慰謝料請求の可能性
- 離婚協議書や公正証書の作成
特に、未成年の子どもがいる、財産が多い、自宅や会社の経営権が関係する、DVや虐待があるといったケースでは、離婚を伝える前の相談が重要です。
相談する弁護士を選ぶ際は、離婚・家事事件の取扱経験、説明の分かりやすさ、費用、連絡方法などを確認しましょう。無料相談があるかだけではなく、自分の考えを伝えやすく、現実的な見通しを説明してくれるかどうかも大切です。
まとめ
離婚するべきか迷ったときは、「相手が嫌いだから」「今すぐこの生活から逃れたいから」という感情だけで決めるのではなく、離婚後の生活を具体的に考えることが大切です。
ただし、DVや子どもへの虐待などがある場合は、関係改善や慎重な話し合いよりも、安全確保を優先してください。
2026年4月からは、離婚後の親権者を父母双方とする共同親権か、父母の一方とする単独親権かを定める制度になりました。養育費については法定養育費や回収制度が新設され、財産分与と年金分割の請求期限も、2026年4月1日以降の離婚では原則5年に延長されています。
離婚前には、少なくとも次の点を確認しましょう。
- 離婚後の収入と住まい
- 子どもの親権、監護、養育費、親子交流
- 夫婦の財産と負債
- 年金分割
- 離婚原因と証拠
- 別居中の婚姻費用
- 離婚協議書や公正証書の必要性
離婚は、早く成立させることだけが成功ではありません。
自分と子どもの生活を守り、必要な条件を整理したうえで離婚することが、離婚後の後悔やトラブルを減らすことにつながります。