「離婚するべきか迷っている」「離婚することは決心したが、どのように相手に切り出し手続きを進めればいいのか分からない」…このように、離婚について悩んでいる時には、誰に相談すればよいか分からないという方は多いのではないでしょうか。
離婚の悩みは、離婚カウンセラーや弁護士などさまざまな専門家に相談することができます。この記事では、離婚の悩みのパターン別の相談方法についてご紹介します。
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離婚を迷っている時の相談方法
離婚すべきか迷っている時には、家族や仲の良い友人に相談する人も多いようです。しかし、家族や仲の良い友人に相談すると、あなたのことを思うがあまり「そんなひどい人とは別れろ」と感情的にアドバイスされてしまううことも多く、冷静に判断することができないケースもあります。
このような場合には、夫婦でカウンセリングを受けたり、共通の知人に間に入ってもらったり、調停などを利用する方法も検討してください。
(1)共通の知人を介して話し合う
夫婦の問題は、まずは夫婦間で話し合うことが基本です。
そして、夫婦で話し合う時には、相手に心を開き落ち着いて相手の言い分をよく聞くことが非常に大切です。しかし、夫婦だけで話し合うとつい感情的になってしまうこともあるでしょう。
その場合には、第三者に立ち会ってもらったうえで話し合うことも有効です。夫婦ともに信頼できる仲人さんや友人がいれば、仲介を頼んでみましょう。
(2)カウンセリング
自分自身「借金癖さえなければ」「不倫をやめてくれれば」との期待が捨てられずにいる時には、家族や友人にアドバイスしてもらっても、素直に耳を傾けられない時もあります。また、家族や友人に離婚問題を相談することに抵抗がある人もいるでしょう。
そのような時には、離婚問題に豊富な経験を持つカウンセラーのカウンセリングを受けるのもおすすめです。
カウンセリングとは、夫婦の話を聞きながら夫婦間のトラブルの原因を探り、お互いへの理解を深めながら、関係の修復方法についてアドバイスをする人のことをいいます。
「離婚カウンセラー」「夫婦カウンセラー」などと呼ばれることもあります。
離婚するべきか迷っていたり「何とかやり直したい」と思っていたりする場合には、夫婦そろってカウンセリングを受けることをおすすめします。
日本ではあまり馴染みのないカウンセリングですが、欧米などでは一般的なものであり、夫婦間の心の問題を解決する非常に有効な手段です。
(3)夫婦関係円満調整の調停
調停というと、離婚を前提に裁判所などで話し合うイメージを持つ人が多いと思います。
しかし、家庭裁判所には夫婦関係を改善し離婚を回避することを目的とした「夫婦関係調整の調停」を申し立てることもできます。
「夫婦関係調整の調停」とは、家庭裁判所に調停を申し立てて夫婦双方の話を聞いてもらって、夫婦関係の調整をする方法です。
調停では、家事審判官(裁判官)と民間の良識ある人から選ばれた調停委員で構成される調停委員会が立ち会い、夫婦双方から話を聞きます。
そのうえで、夫婦関係が円満でなくなった原因は何か、その原因を解消し関係を改善するためにはどのような方法があるのか、アドバイスをしてくれます。
夫婦がお互い顔を合わせたくないという場合には、別々の待合室で待機するなどの配慮もしてくれます。
申し立てるためには、申立書及びその写し1通や夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)等が必要です。
夫婦関係調整調停(円満)の必要書類
①申立書2通(控え1通)
②事情説明書 1通
③子についての事情説明書(未成年の子どもがいる場合)
④連絡先等の提出書 1通
⑤進行に関する照会回答書 1通
⑥夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
申立書の記載例は、以下を参考にしてください。
事情説明書の記載例については、以下の記事を参考にしてください。
(4)専門の相談機関や自助グループ
夫婦間がうまくいかなくなった原因がはっきりしている場合(アルコールやDV、借金問題など)には、それらの問題の専門の相談機関や自助グループ、法律相談所に相談するのがおすすめです。
どこに相談すればよいのか分からない場合には、各自治体の役所や女性センター、福祉事務所に問い合わせてみましょう。
なお、夫や妻のDVについて悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてください。
(5)弁護士
離婚するうえで複雑な問題を抱えている場合には、離婚すべきか悩んでいる時期から弁護士に相談しておくと、離婚話を進めるうえで参考になります。
相手の不倫を疑っているなら、弁護士から調査会社を紹介してもらうことができますし、DVに悩んでいる場合には、シェルター等と連携をとって対応してもらうことができます。また、離婚の決心がついた時にどうすれば離婚を有利に進めることができるかについても、アドバイスをしてもらうことができます。
離婚の決心が固まっている時の相談方法
離婚をする決心がついている場合には、家族や知人に相談するより、離婚カウンセラーや弁護士、調停の利用を検討することをおすすめします。
(6)離婚カウンセラー
離婚カウンセラーとは、夫婦間のトラブルの原因を探って、関係を修復するための方法をアドバイスしてくれたり、必要な機関へ紹介をしてくれたりします。
心理的なサポートをしてもらうこともできますし、法律的にどのようなことが問題になるのか、弁護士に相談するべきかなどについても相談することができます。
(7)弁護士
協議離婚(夫婦間の協議による離婚)や調停離婚(調停で話し合って離婚する方法)では、弁護士に依頼しなくとも手続きを進めることができますが、調停が成立せずに離婚裁判になった場合には、法律の知識や法廷テクニックが必要になりますから、弁護士なしでは有利に裁判を進めることはできません。
相手との話し合いがスムーズに進まなかったり、調停での話し合いが難航することが予想される場合には、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
なお、相談する弁護士は、離婚裁判等に豊富な経験や実績のある弁護士を選ぶようにしましょう。評判や知名度などに惑わされず、弁護士の人柄や自分との相性などについてもよく吟味するようにしてください。
(8)夫婦関係調整の調停
前述した夫婦関係調整調停(円満)とは別に、相手と離婚したい時にも調停を申し立てることができます。
夫婦の一方が離婚に応じない場合や、離婚条件について話し合いがまとまらず協議離婚ができない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて離婚の話し合いの場を持つことができます。
なお、日本では当事者間の話し合いがまとまらないからといって、調停をしないでいきなり離婚裁判を起こすことはできません。これは日本には「調停前置主義」という規定があり、調停を申し立ててからでないと裁判に進めないからです。
したがって協議離婚が困難な場合には、まずは離婚調停を申し立て調停が不成立となった時に離婚裁判を起こすことになります。
▶ 調停離婚とは|調停離婚の進め方・8つのメリットと3つのデメリット
離婚調停は、家庭裁判所が介入するので必ずしも弁護士に依頼しなければならないというわけではありません。しかし、相手が弁護士に依頼した場合には、弁護士に依頼した方が有利に手続きを進めることができます。「弁護士に相談すればよいか分からない」という場合でも、自分の状況を確認するだけでもその後の手続きに影響することがありますので、一度は弁護士に相談してみることをおすすめします。
まとめ
以上、離婚したい時の相談方法をケース別にご紹介しました。
離婚の悩みは、当事者でないと理解しにくいものです。
そして、離婚は「戸籍から籍を抜く」だけのものではありません。夫婦双方で考えるべきこと、決めなければならないことが数多くあります。
ひとりで悩みを抱え込んで後悔することがないよう、ここでご紹介したカウンセラーや弁護士、相談機関や自助グループを上手に活用してください。